092型原子力潜水艦

092型原子力[[潜水艦]]（長征6号級）

092型原子力[[潜水艦]]は、中国人民解放軍海軍において初めて導入された原子力弾道ミサイル潜水艦（SSBN）です。この艦は、091型潜水艦を基盤にしており、潜水艦から弾道ミサイルを発射するための設計がなされています。この艦のNATOコードネームは「夏級」と呼ばれ、中国の歴史的な王朝「夏」に由来しています。

開発の背景

1960年代の終わり、中国は初の原子力[[潜水艦]]の導入を目指し、091型潜水艦の建造を行いました。しかし、1970年代後半には、より進化した弾道ミサイルを搭載可能な潜水艦の整備計画が進められました。その結果、092型潜水艦の開発が開始され、艦体は091型を基に改設計され、後方部分が膨らんだ形状をしており、そこにミサイル発射筒を装備しています。最初の艦は1978年に起工され、1981年に進水、1987年に就役しました。

兵装

弾道ミサイル

092型には、潜水艦から発射できる弾道ミサイル「巨浪一号（JL-1）」が12基搭載されています。このミサイルは、核弾頭の威力が250から500キロトンで、発射重量は14,700キロであり、最大射程は2,150から2,500キロメートルです。ミサイルは潜航している状態でも発射が可能で、東風二一号（DF-21）という地上発射型中距離弾道ミサイルとほぼ同じ構造をしています。そのため、当初から弾道ミサイルとして開発されたものの一部改良バージョンとも言えます。しかし、JL-1の射程はアメリカ合衆国に対する戦略的抑止力としては不足しているため、後に射程を拡大したJL-1Aモデルに置換され、さらに巨浪二号（JL-2）の開発が進められています。

魚雷

092型は、艦首に533mmの魚雷発射管を6門装備しており、この機能は対艦および対潜水艦戦の自衛のために用いられます。

運用状況

092型は、運用開始以来、いくつかの放射能に関するトラブルが発生し、その影響で10年近くもドックでの整備が続いていました。2009年には国際観艦式に参加しましたが、その戦力状態についてはアメリカ国防総省から疑念が示されています。現在、この艦は北海艦隊に属し、葫蘆島造船廠を拠点に渤海を活動範囲としています。技術的には太平洋にも出撃可能ですが、中国近海を超える長期的な航行は一度も行われたことがありません。

戦略核抑止力を維持するためには、複数隻を持ち定期的に整備を行う必要がありますが、本型潜水艦は1隻のみの就役にとどまっています。そのため、戦略的な抑止力としての役割には限界があり、092型の後継として094型潜水艦が現在進行中です。094型では新型のJL-2（巨浪二型）ミサイルが搭載され、より強化された能力が期待されています。

もう一度検索