0930
2000年代初頭に活動した、
宮崎県西都市出身の
女性二人組
音楽グループ。グループ名は「おくさま」と読む。メンバーは、主にボーカル、
ハーモニカ、タンバリンを担当した児玉美代(こだま みよ、通称:おだま)と、
ギターとボーカルを務めた梅原恵里(うめはら えり、通称:うめぱら)。二人は高校の同級生であった。所属レコード会社は当初
日本コロムビア傘下のHEAT WAVEレーベル、後に親会社である
日本コロムビア本体に再統合された。マネジメントは
ヤマハ音楽振興会が担当。グループ名の「0930」は、
女性用かつらの問い合わせ番号の一部から取られたというユニークな由来を持つ。
洗練されていない素朴な外見、飾らない宮崎弁での語り口、そして「地方の普通の
女子高生」というイメージを打ち出した楽曲は、ダンスミュージック系のアーティストが主流であった当時の
J-POPシーンにおいて、際立った個性を放ち、注目を集めた。メンバー自身もこの独自性を自覚しており、「私たちはこの素朴さがあったからこそ売れた」といった趣旨の発言をすることもあったという。
来歴
1999年、高校の同級生であった児玉と梅原が意気投合し、グループを結成。地元の
西都市内にある公園などでストリートライブを行い、
音楽活動を開始した。同年11月には、後にメジャーデビュー曲となる「山田君」で全国規模の
音楽コンテスト「TEEN'S MUSIC FESTIVAL」に出場。これをきっかけに、
2000年1月頃、
インディーズ盤シングルとして「山田君」を地元
宮崎県限定でリリースしたところ、1400枚から2000枚を超える異例のヒットを記録した。
この時期、テレビ番組「
1億人の大質問!?笑ってコラえて!」のコーナーで取り上げられ、知名度を高めた。
インディーズ版「山田君」は、当時全国的に大ヒットしていた
サザンオールスターズの楽曲を抑え、
オリコンチャートの
宮崎県内ランキングで首位を獲得するという快挙を成し遂げている。
2000年7月29日、
インディーズでの成功を足がかりに、シングル「山田君」でHEAT WAVEレーベルからメジャーデビュー。メジャー盤も10万枚を超えるセールスを記録した。デビュー直後の同年8月には、テレビ番組「
スーパーナイト」で、高校卒業後の進路に悩む彼女たちの姿が特集され、等身大の魅力が共感を呼んだ。
メジャーデビュー後、
2001年には精力的に活動を展開。1月のセカンドシングル「10年後」から始まり、「おはし」「がんばるひと」「いつものところへ」と立て続けに4枚のシングルをリリースした。同年9月には、最初にして唯一のオリジナルアルバムとなる「チョコバナナ」を発表。
しかし、
2002年に入ると
音楽活動はペースダウンし、「
ひとりでできるもん!どきドキキッチン」の企画盤への参加とシングル「がんばれ自分!」のリリースに留まった。この活動の失速は、所属レーベルであるHEAT WAVEが経営難に陥り、親会社である
日本コロムビアに再統合されたことや、それに伴う親会社の
リストラの影響があったとされている。2003年にはCDリリースが一切なくなり、
2004年3月31日をもってグループは解散。この情報は、公式サイト上でのみ発表された。
活動期間中、二人は宮崎と東京を往復しながら、
音楽活動だけでなく
タレントとしても幅広く活躍した。ラジオ番組でのパーソナリティを務めたほか、「
はなまるマーケット」のジングル担当、「笑っていいとも!」のレギュラー出演、
花王「
ビオレ」のCM出演など、多岐にわたるメディアでその個性的な存在感を示した。
エピソード
テレビ番組「
とんねるずのみなさんのおかげでした」の人気コーナー「食わず嫌い王決定戦」に出演した際、食レポの際に「まいうー」という言葉を連発し、共演者から時代遅れだと笑われる場面があった。しかし、番組放送後、お笑い
タレントの
石塚英彦が「まいうー」を使い始めたことから、0930がこのフレーズを広めるきっかけを作ったという説も存在する。
解散後
グループ解散後、メンバーはそれぞれの道を歩んでいる。児玉美代は地元宮崎に戻り、ローカル
タレントとして活躍を続けている。
宮崎放送(MRT)のテレビ・ラジオ番組にレギュラー出演するほか、地元の人気店である「ぎょうざの丸岡」のCMソングを担当(元々は男性ボーカルのバージョンが存在するが、児玉自身の歌唱バージョンも存在する)。また、
宮崎県内でライブ活動も行っている。2007年には、当時の
東国原英夫宮崎県知事らと共演した特別番組にも出演した。2011年には結婚・妊娠を報告しており、プライベートでも新たな段階を迎えている。
一方、梅原恵里は東京へ移り、ソロでの
音楽活動を継続。現在は、いろハモニカとのユニット「モニパラ」としても活動しており、自身の
音楽性を追求している。
ディスコグラフィー(抜粋)
シングル
山田君(
2000年) - メジャーデビュー曲。地元の公園で撮影されたPVが制作された。
10年後(
2001年) -
東京モノレールの車両や軌道上で撮影されたPVが特徴。
おはし(
2001年) - アニメ「
ジャングルはいつもハレのちグゥ」主題歌。
がんばるひと(
2001年) - 一般から「がんばる人」を募集し、彼らの姿を追ったPVが制作された。
いつものところへ(
2001年) -
全国高等学校ラグビーフットボール大会テーマソング。
がんばれ自分!(
2002年)
アルバム
チョコバナナ(
2001年) - 唯一のオリジナルアルバム。
その他
あっちこっち しあわせ(
2002年) - NHK教育テレビ「
ひとりでできるもん!どきドキキッチン」エンディングテーマとして、番組終了まで使用された楽曲。