1,2-ジクロロプロパン

1,2-ジクロロプロパン：性質、危険性、規制について

1,2-ジクロロプロパンは、化学式C3H6Cl2で表される有機塩素化合物です。無色で、クロロホルムに似た臭気を持つ可燃性の液体です。かつては、様々な用途で使用されていましたが、その高い毒性と発がん性が明らかになったため、現在では使用が厳しく制限されています。

物理的・化学的性質

1,2-ジクロロプロパンは、無色の可燃性液体で、特有の臭気を持ちます。他の有機塩素化合物の製造中間体として用いられてきました。また、過去には、土壌燻蒸剤、塗料剥離剤、溶剤、農薬など、幅広い用途で使用されていました。しかし、その危険性から、これらの用途での使用はほとんど中止されています。

健康への影響

1,2-ジクロロプロパンは、人体に深刻な影響を与える可能性のある有害物質です。

急性影響:

眼、皮膚、気道への刺激作用
中枢神経系への影響

慢性影響:

皮膚の脱脂
肝臓・腎臓への障害

特に懸念されるのが、その発がん性です。動物実験において、肝細胞がんを引き起こすことが確認されています。また、2012年には、印刷会社従業員における胆管がんの多発事例が報告され、印刷機の洗浄に使用された1,2-ジクロロプロパンとの関連性が疑われています。厚生労働省の調査では、高濃度への長期間暴露が胆管がん発症の主要因である蓋然性が高いと結論付けられています。

発がん性と規制

1,2-ジクロロプロパンの発がん性は、国際がん研究機関(IARC)によって、グループ1（ヒトに対する発がん性が認められる）に分類されています。このため、多くの国でその使用が厳しく規制されています。日本においても、労働安全衛生法で第二類物質特別有機溶剤等に指定され、その取り扱いには厳しい規制が適用されています。2013年には、特定化学物質障害予防規則が改正され、健康障害防止措置が義務付けられました。

安全対策

1,2-ジクロロプロパンを取り扱う際には、適切な安全対策が不可欠です。具体的には、以下の対策が挙げられます。

作業環境の換気
保護具（防護服、手袋、ゴーグルなど）の着用
漏洩時の適切な処理
定期的な健康診断

1,2-ジクロロプロパンの取り扱いには、細心の注意が必要です。安全データシート(SDS)を熟読し、適切な安全対策を講じることで、健康被害のリスクを最小限に抑えることが重要です。

まとめ

1,2-ジクロロプロパンは、その高い毒性と発がん性から、使用が厳しく制限されている有害物質です。取り扱いには、SDSに基づいた適切な安全対策を講じる必要があります。労働安全衛生法および関連法規を遵守し、健康被害の防止に努めることが不可欠です。

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