10人抜きのど自慢

10人抜きのど自慢（じゅうにんぬきのどじまん）

『10人抜きのど自慢』は、1962年3月1日から1966年9月29日までの期間、TBS系列局で毎週木曜日の19:00から19:30に放送された、TBS製作の視聴者参加型歌謡番組です。

番組概要

この番組の大きな特徴は、出場者が自慢の歌声を披露し、10人連続の勝ち抜きを目指すという点にありました。視聴者参加型番組として人気を博し、司会は漫才コンビの青空千夜・一夜が担当しました。また、毎年新春には、過去に番組で優秀な成績を収めたチャンピオンたちを招いての特別企画「優勝者大会」が開催されました。

この番組をきっかけに、水戸浩二、光宮正、田中星児といった面々が歌手としてデビューを果たしています。

成り立ちとタイトルの変遷

『10人抜きのど自慢』は、東京放送（現在のTBSホールディングス）がまだラジオ東京という社名だった1950年代後半に、同社のラジオ部門（現在のTBSラジオ）で放送されていた人気番組『スーパー10人抜きのど自慢』を基にテレビ向けにリメイクされたものです。

ラジオ版のタイトルに含まれる「スーパー」は、1954年に参天製薬が発売した「大学スーパー目薬」の略称から取られていました。テレビ版の放送開始当初は、このラジオ版との区別を図るため、当時の参天製薬の主力ブランドであった「大学目薬」にちなんで『大学10人抜きのど自慢（だいがく - ）』というタイトルで放送されていました。

しかし、「大学」という冠が「大学生しか出場できない」といった誤解を生むことが増えたこと、そして参天製薬の主力製品が「サンテ・ド・ウ」などのサンテブランドへと移行していったことから、1964年4月23日の放送回より番組タイトルが『サンテ 10人抜きのど自慢』へと変更されました。

さらにその後、スポンサーが参天製薬から松下電器産業（現在のパナソニックホールディングス）へと替わったため、1966年4月7日の放送回からは『ナショナル 10人抜きのど自慢』と再び改題されました。

審査員

番組の審査員は、以下の錚々たる顔ぶれでした。

吉田正
湯川れい子
内海重典
レイモンド服部
山本丈晴

賞金と副賞

勝ち抜き数に応じて設定されていた賞金額は以下の通りです。

1人抜き: 1,000円
2人抜き: 2,000円
3人抜き: 3,000円
4人抜き: 4,000円
5人抜き: 5,000円
6人抜き: 10,000円
7人抜き: 15,000円
8人抜き: 20,000円
9人抜き: 25,000円
* 10人抜きチャンピオン: 100,000円（内訳は、勝ち抜き賞金3万円とチャンピオン賞7万円でした）

また、『サンテ10人抜きのど自慢』と改題された後には、副賞として「スカンジナビア航空で行くヨーロッパ旅行」が加わりました。これは、1964年4月の日本における海外旅行自由化を受けて導入されたものです。

この番組は、当時のテレビにおける視聴者参加型歌謡番組の代表格として、多くの人々に親しまれました。

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