10条該当党員

10条該当党員についての詳細

10条該当党員は、日本共産党において長期間活動していない党員、いわゆる幽霊党員を指します。この名称は、日本共産党規約の第10条に基づいています。

概要

日本共産党の党規約第10条では、「一年以上党活動に加わらず、または一年以上党費を納めていない党員で、その後も党組織が努力したにもかかわらず、党員として活動する意志がない場合は、本人との協議を行った後に離党手続きを取ることができる」と規定されています。このように、党員が一定期間活動や党費の納入を行わない場合、その状況に応じて離党が進められることになります。

党員は、党規約46条に基づき、毎月の手取り収入の1%を党費として納めなければなりません。ただし、一度入党が認められると、その後党費を納めていなくても党籍を保持することが可能です。また、党規約には生活の困難な党員に対して党費の軽減または免除が認められているため、すべての党費未納者が10条該当党員に該当するわけではありません。

この制度は1980年の第15回党大会で改正される前は、活動しない期間が6カ月とされていました。1966年から1980年までには「党員候補」制度もあり、短期間参加しなくなった人を入党段階で排除することができました。

自民党との違い

自由民主党の名義貸し党員と、日本共産党の10条該当党員との間には明確な違いがあります。自民党では、総裁選挙などで支持を得るために意思のない一般社員やアルバイトが名目上の党員とされ、数を増やしています。

一方で、日本共産党の党員はそれぞれ独自に入党手続きを行い、党としての活動に参加する意思を示さなければなりません。10条該当党員であっても、一度は党の理念や規約を認めて政治活動に参加する決意を固めていることが、本質的な違いです。しかし、党費未納のために活動していない党員が、意思に反して党員として残る可能性もあります。

離党手続き

10条該当党員を離党させるには、所属する支部との協議が必要です。この中で、将来的に党活動に復帰する意志がないことが確認されると、離党届が記入され、承認されます。ただし、協議が不可能な場合には、党員の資格を失ったものとして除籍手続きも行えるよう規定されています。

1994年の第20回党大会前は、10条該当党員の整理は離党ではなく除籍という形で行われていました。過去には、活動から6カ月経過する時点で協議なしに除籍も可能な場合もありました。

現在の課題

党支部によっては、10条該当党員の整理が十分に進んでいないことが問題視されています。離党することで党員数が減少し、党の基盤が揺らぐ懸念があるためです。このため、未結集の党員や活動から遠ざかってしまった人々を適切に整理できない状況が続いています。

規約の徹底と取り組み

この問題を解決するために、日本共産党は党内の規約を徹底し、党員の結束を高めるための取り組みを行っています。特に、長く連絡の取れない党員にも定期的に連絡をし、最新の決定文書を届けることで、10条該当党員を増やさないよう努めています。

一方で、2010年の中央委員会では、『実態のない党員』の問題は基本的に解決したとされ、離党者が増加しました。これは党にとって重要な踏み出しとなったのです。

他の政党との類似

日本社会党（現：社会民主党）にも似たような制度があり、党費未納の党員が長期間党籍を保持できる規約が存在しました。この制度の名残は、現在の社会民主党にも見られます。

このように、10条該当党員が存在することは、党の発展や活動において重要な課題であり、議論の余地があります。

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