10.5 cm FlaK 38

10.5cm FlaK 38について

10.5cm FlaK 38は、第二次世界大戦中にドイツで開発された口径105mmの高射砲であり、その設計は非常に革新的でした。この高射砲は、従来の8.8cm FlaK 18/36/37よりも射程が優れているため、より効果的な対空防御が可能でした。1944年までに2,068門が生産され、実戦に投入されました。

開発の背景

この高射砲の性能を向上させるために、開発はクルップ社とラインメタル社に依頼されました。特に注目すべき点は、駆動方式の改良です。8.8cm高射砲よりも重いため、従来の手動式から電動式、さらには油圧式へと移行しました。その結果、ラインメタル社が開発したピットラー・トーマ式油圧モーター駆動型が選ばれることとなりました。このタイプは、当初直流式でしたが、設置後の利便性を考慮して交流電源での駆動に変更されました。

最終的に、改良版の10.5cm FlaK 39も開発され、1940年に生産開始されました。この新型はデータ伝達装置が37式に変更され、さらなる性能向上が図られました。

構造と運用

10.5cm FlaK 38は全周旋回が可能な十字型砲架に搭載されており、203型特殊トレーラーと12t牽引車を使用して輸送することもできました。しかし、その重量が8.8cm高射砲の倍以上であったため、野戦使用には適しませんでした。射撃状態に移行するのに20分を要するため、この高射砲は主に要塞陣地や都市防衛用に使用されました。特に平型貨車に搭載する形で軌道高射砲としても運用され、戦局によっては東部戦線などで野戦陣地に配置されることもありました。

火力と性能

10.5cmの徹甲榴弾は、1000m先で30度傾斜した140mm装甲を貫通する能力を持っており、発射速度は1分あたり12～15発に達しました。この火力は当時の敵戦車に対して有効であり、特に重装甲の敵に対しても十分な威力を発揮しました。ただし、この高射砲は野戦用として設計されていなかったため、8.8cm高射砲のような砲員防護用の防盾は最後まで装備されることはありませんでした。

さらに、10.5cm FlaK 40という新型の計画もありましたが、こちらは滑腔砲化して新しい弾薬を使用することで性能向上を目指しました。しかし、8.8cm FlaK 41などの新型高射砲の開発が進む中で、10.5cm FlaK 40の計画は中止となりました。

このように、10.5cm FlaK 38は設計や運用面で多くの特徴を持つ高射砲であり、第二次世界大戦の中で重要な役割を果たしました。今日でも、この兵器の歴史的な影響を理解することは、当時の軍事技術の進化を振り返る上で非常に興味深いテーマです。

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