1000日のアン

映画『1000日のアン』の概要

『1000日のアン』（せんにちのアン）は、1969年に公開された歴史映画で、イングランド国王ヘンリー8世の妃であるアン・ブーリンの運命を描いています。作品は、ハル・ウォリスの製作、チャールズ・ジャロットの監督により、ユニヴァーサル映画が配給しています。脚本はマクスウェル・アンダーソンの1948年の戯曲を基に、ブリジット・ボランド、ジョン・ヘイル、リチャード・ソコロヴの手によって脚色されました。アンダーソンが用いた無韻詩様式の一部は、映画中の特定シーンにも活かされています。

特筆すべきは、本作がアカデミー賞において10部門にノミネートされ、衣装デザイン賞を受賞した点です。その一方で、否定的なレビューも多く寄せられました。ユニヴァーサルスタジオは、映画のプロモーションに力を入れ、特にアカデミー賞の選考委員にはシャンパンやフィレミニョンを振る舞う豪華な広告キャンペーンを展開しました。

あらすじ

物語は16世紀のイングランド。国王ヘンリー8世は先妻キャサリンとの間に子供をもうけましたが、男子の世継ぎを渇望していました。王は宮廷で若きアン・ブーリンに出会い、彼女に強く惹かれますが、アンにはすでに婚約者がいました。王はアンを自らの女官として宮廷に呼び寄せ、愛人となるよう迫りますが、アンはその道を拒み続けます。

然而、ヘンリーは愛するアンを手に入れるため、キャサリンと離婚し、彼女と結婚することを決意します。教皇との関係を巡って様々な困難に直面しながらも、最後にはアンと結婚に至ります。しかし、この結婚はやがて悲劇を招くこととなります。アンは娘エリザベスを出産しますが、ヘンリーは男子が生まれなかったことに失望し、二人の関係は冷却の一途を辿ります。

アンはヘンリーの愛情を維持しようと奮闘するものの、次々と起こる困難に直面し、最終的には王の命により不当な裁判にかけられます。彼女は姦通の罪で告発され、最終的には処刑される運命に見舞われるのです。物語は、彼女の裁判の過程やその結末を通じて、極めて人間的なドラマを描き出します。

キャストと製作背景

この映画のベースとなった戯曲は、1948年にブロードウェイで初演され、レックス・ハリソンとジョイス・レッドマンが主役を演じ、成功を収めました。しかし、不倫や近親相姦をテーマにするため、映画化には時間がかかりました。撮影はロンドンやパインウッド・スタジオなどで行われ、当時の時代背景を忠実に再現しています。

歴史考証

アンにまつわる歴史的事実に関しては様々な議論が存在し、彼女の姉の子供がヘンリー8世の子であるかどうかについても学者によって意見が分かれています。また、アン自身の年齢や結婚生活の終焉に関する記録も不確かであり、様々な解釈がなされています。映画では、彼女が全ての容疑に対して無罪であるとされていますが、これは歴史的にも支持されている見解です。

受賞歴

『1000日のアン』は、1969年のアカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞し、他にも多くの部門で候補に挙がりました。1970年のゴールデングローブ賞でも数部門で受賞し、特に監督賞や主演女優賞などで評価を受けました。これにより、映画はその芸術的価値を認められ、観客だけでなく批評家からも高い評価を受けることとなりました。

この映画は、アン・ブーリンの波乱に満ちた人生を描いた作品として、歴史映画の中で特に重要な位置を占めています。

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