12ポンドナポレオン砲

12ポンドナポレオン砲について

12ポンドナポレオン砲は、1853年にフランスで開発された前装式の滑腔砲です。この砲は、口径が12センチメートルで、さまざまな弾薬を発射可能な多目的な野戦兵器として知られています。特に南北戦争において、多くの部隊で使用されたため、その名が広まりました。

特徴

ナポレオン砲は、榴弾や実体弾、キャニスター弾、さらにはぶどう弾を発射できる設計が大きな特長です。そのため、従来の実体弾のみを用いる砲と比較して、性能において大きな飛躍を遂げました。英語では「12ポンド砲」として扱われますが、実際の12という数字は砲弾の重さを表すものではなく、口径を示しています。実際の弾の重さは約4.1キログラム（9ポンド）です。

この砲は軽量であるため、馬による迅速な移動が可能で、戦場での戦術においても大いに活用されました。特に、敵の防御ラインを破壊する能力や、近距離での優れた殺傷能力が評価され、フランス陸軍では正式な装備として採用されました。

アメリカでの使用

南北戦争において、12ポンドナポレオン砲は北軍と南軍両方にわたり広く使用されました。北部では約1100門、南部では約600門が製造され、ゲティスバーグの戦いでは北軍が持つ360門の大砲の中で、約36%がナポレオン砲でした。米軍の公式な軍用マニュアルでは、他の大型の砲と区別するために「軽12ポンド砲」と呼ばれていました。

アメリカに初めて持ち込まれたのは1857年で、M1857と呼ばれるモデルとして知られています。北軍のナポレオン砲は、砲身前部が特徴的に太くなっているため識別が容易である一方、比較的重いために移動の際には不便が伴いました。

南軍では6つ以上のバリエーションが作られましたが、ほとんどが直線的な砲身を持っていました。戦後には、残存した133門の中で8門が特徴的な太い砲身を持っていることが記録されています。また、リッチモンドのトリディガー鉄工所で生産された鉄製のナポレオン砲もあり、大戦中の資源不足が影響を及ぼしました。

その後の展開

1858年には、アントワーヌ・トゥルイユ・ド・ボーリューによって新たな施条砲が開発され、12ポンドナポレオン砲は次第に時代遅れとなります。ナポレオン3世は、従来の滑腔砲を新しい施条砲に改造することを指示しました。これにより、改造された砲は1870年代に至るまで使用され続けました。

ナポレオン砲は、独自の設計と性能により、戦場での活躍を経て、軍事技術の進化に寄与した重要な武器でした。

もう一度検索