12式魚雷

12式魚雷（ひとふたしきぎょらい）

12式魚雷は、海上自衛隊のために防衛省技術研究本部と三菱重工業が共同で開発した短魚雷です。この魚雷は、主に対潜水艦攻撃を目的としており、G-RX5という名称で開発が進められました。これは、過去に開発された97式短魚雷に続く呼称となっています。

開発背景

97式短魚雷は、外洋や深海での敵潜水艦撃破を重視して設計されましたが、冷戦以降、海洋作戦の重視される地域が沿海域へと移行していく中で、12式魚雷の開発が始まりました。この新しい魚雷は、外洋・深海域における優れた対処能力と、沿海・浅海域に対する対応能力を両立させることを目指しています。

技術研究本部は、1998年度から2003年度にかけて「浅海域対潜用短魚雷の研究」を行い、その後2005年度からG-RX5の本格的な開発をスタートさせました。2009年度には実射試験が実施され、2012年には12式魚雷として部隊での使用が承認されました。

特徴と技術

12式魚雷が開発される際、沿海域や浅海域の特徴を考慮し、海水の塩分濃度や水温、海流、さらには海底地形の変化に対応できるようにしました。これにより、魚雷の音響探知と誘導技術がより高度なものとなる必要がありました。そのため、センサ部と誘導部の技術が大きく刷新され、特にメインセンサには新型の広帯域音響振動子アレイが採用されました。この振動子は、浅海域でも高周波に対応できる設計になっています。さらに、沈没した潜水艦を探知するために、サイドスキャンソナーや磁気センサも搭載されるようになっています。

また、信号処理能力の向上も図られており、残響処理などの技術が強化されています。これにより、潜水艦をより正確に識別し、追尾する能力が向上しました。12式魚雷は、97式と同等の弾頭部や機関部を使用しつつも、機関部の運動性を向上させています。サイズや重量は、97式と同じくらいであり、互換性を考慮して設計されています。具体的には、97式との部品共用度は約38%で、使用されなくなった97式からの部品再利用も検討されています。

運用体系

この魚雷は、SH-60Kヘリコプターや、一部改修されたP-3C、P-1の哨戒機、さらには護衛艦ではHOS-303短魚雷発射管や07式垂直発射魚雷投射ロケットに搭載されて使用されます。特にあさひ型護衛艦のHOS-303短魚雷発射管が初めて12式魚雷を搭載することになります。

結論

12式魚雷は、海上自衛隊の対潜水艦能力を強化するために設計された重要な武器であり、冷戦後の防衛戦略に合わせて進化を遂げています。基礎的な技術を活かしつつも、現代の海洋環境に適応した設計が施されています。

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