16ビットアプリケーション

16ビットアプリケーションとは

16ビットアプリケーションとは、16ビットのCPU（プロセッサ）と、それに対応する16ビットオペレーティングシステム上で動作するように設計されたアプリケーションプログラムのことです。特に、初期のパーソナルコンピュータ（PC/AT互換機|PC_AT互換機）環境において、広く利用されていました。

16ビット環境の概要

初期のPCでは、インテルの8088や80286といった16ビットマイクロプロセッサが使用されていました。これらのCPU上で動作するオペレーティングシステム（またはオペレーティング環境）に合わせて開発されたソフトウェアが、16ビットアプリケーションと呼ばれます。代表的なものとしては、以下のものが挙げられます。

MS-DOS: かつて広く普及したMS-DOS上で動作するアプリケーション。
OS/2 16ビット: IBMとMicrosoftが共同開発したOS/2の初期バージョン（1.x）で採用された16ビットAPIを使用するアプリケーション。
Microsoft WindowsのWin16: 32ビットAPIであるWin32が登場する前に使用されていた、16ビットのWindows APIを利用するアプリケーション。

これらの16ビットアプリケーションは、20ビットまたは24ビットのx86セグメント方式のアドレス表現を使用しており、16ビットアドレスのみでアクセス可能な範囲（64KB）を超えるメモリ領域を利用できるように工夫されていました。

メモリ管理の複雑性

16ビットアプリケーションでは、プログラムは命令とデータに64KBを超えるメモリを使用することが一般的でした。そのため、64KB単位の「セグメント」を切り替える必要があり、特別な命令を使ってメモリを操作する必要がありました。このセグメント切り替えの必要性が、16ビットアプリケーションのプログラミングを複雑にする要因となっていました。

16ビットアプリケーションの歴史的背景

16ビットアプリケーションは、初期のパーソナルコンピュータの発展に不可欠な存在でした。しかし、CPUやOSが32ビット、さらに64ビットへと進化するにつれて、16ビットアプリケーションは徐々にその役割を終えていきました。現在では、ほとんどのコンピュータで32ビットまたは64ビットのOSが使用されており、16ビットアプリケーションは過去の遺物となっています。

関連項目

Win32s: 16ビットWindows環境で32ビットAPIの一部を利用できるようにする拡張。
32ビットアプリケーション: 32ビットCPUとOS上で動作するアプリケーション。16ビットアプリケーションに比べて、より大きなメモリ空間を扱える。
オクテット: 8ビットのデータの単位。16ビットは2オクテットに相当する。

ライセンスについて

この文章は、2008年11月1日以前にFree On-line Dictionary of Computingから取得した項目の資料を元に、GFDL バージョン1.3以降の「RELICENSING」条件に基づいて組み込まれています。

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