17歳の瞳に映る世界

映画『17歳の瞳に映る世界』について

『17歳の瞳に映る世界』（原題：Never Rarely Sometimes Always）は、2020年に公開されたアメリカとイギリスの協作によるドラマ映画です。エリザ・ヒットマンによる監督と脚本のもと、主人公である17歳の少女の視点から、彼女がニューヨークでの人工妊娠中絶手術までの苦悩と旅路が描かれています。

あらすじ

物語は、ペンシルベニア州ノーサンバーランド郡の小さな町エレンズボロに住むオータム・キャラハンを中心に展開します。彼女は母親、義父、2人の妹と共に生活していますが、性格は内向的で、いとこのスカイラー以外に友人もありません。ある日、オータムは自身の妊娠の可能性に気づき、危機妊娠センターを訪れます。検査の結果、オータムは妊娠10週目であることが明らかになります。しかし、ペンシルベニアでは未成年者の中絶には親の同意が必要なため、彼女は独力での中絶を試みますが、失敗してしまいます。

オータムの変化に気づいたスカイラーは、彼女と共にニューヨークへ向かうことを決意します。そこで2人は長距離バスでの移動を経て、産婦人科での再検査を受けます。驚くことに、オータムは妊娠週数が18週目であると告げられ、彼女が希望する手術が行える病院を紹介されます。金銭的に困窮する2人は、スカイラーがジャスパーという青年に連絡を取り、支援を求めます。ジャスパーとの間で微妙な関係が芽生えながらも、オータムは手術前の苦悩を抱えたまま結論を出す瞬間に直面します。

主要キャスト

• - オータム・キャラハン役：シドニー・フラニガン (声：早見沙織)
• - スカイラー役：タリア・ライダー (声：鬼頭明里)
• - ジャスパー役：テオドール・ペルラン (声：伊東健人)
• - オータムの義父役：ライアン・エッゴールド
• - オータムの母役：シャロン・ヴァン・エッテン
• - カウンセラー役：ケリー・チャップマン

制作背景

エリザ・ヒットマンは、アイルランドでの中絶問題をきっかけにこの映画の制作を決心しました。初めての長編映画『It Felt So Good』から続く本作は、より深刻なテーマに直面することになります。当初はアイルランドを舞台に考えられていましたが、ニューヨークを舞台にすることで、都市のリアルさと若者たちの直面する現実を強調することを選びました。

音楽と公開

本作の音楽はジュリア・ホルターによって制作され、サウンドトラックは2020年にリリースされました。映画は2020年1月24日にサンダンス映画祭で初上映され、その後のベルリン国際映画祭で審査員グランプリを受賞しました。日本では新型コロナウイルスの影響を受けつつも、厳選された劇場で公開され、その反響は非常に良好でした。

映画の評価

『17歳の瞳に映る世界』は絶賛され、特に批評家から高い評価を得ています。Rotten Tomatoesでは、評価が99%を超えるなど、多くの人々に影響を与える作品となっています。撮影の手法や、登場人物の表情を重視した映像美が高く評価され、観客に深い感情を呼び起こす力強い作品と言えるでしょう。

この映画は、未成年の妊娠と中絶を扱った作品として、重要な社会問題への意識を促し、現代の若者にとっての「終わりなき旅路」を描く重要な作品となっています。

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