1816年アメリカ合衆国大統領選挙

1816年アメリカ合衆国大統領選挙概説

1816年のアメリカ合衆国大統領選挙は、同国の長い歴史の中でも重要な一幕であり、政治的な勢力図が大きく変わる局面となりました。この選挙は、1816年11月1日から12月4日まで行われ、第8回目の大統領と副大統領を選出するものでした。選挙はジェームズ・マディソン大統領の2期目の任期を受けて実施されましたが、当時の連邦党が崩壊を迎え、民主共和党に対する支持が一層強まりました。

1. 背景と状況

アメリカは1812年から1815年までの米英戦争を終えた後、戦争の結果を受けた国民の心理が選挙に大きく影響を与えました。戦争は必ずしも明確な勝利をもたらさなかったものの、アメリカ人の間では休戦が評価される形で、民主共和党が有利な立場を確立しました。一方、連邦党は戦争に反対し、ハートフォード会議において離脱を協議したことから、信用を失い、支持を減少させていました。さらに、マディソン大統領が連邦党の政策を一部取り入れたことにより、選挙の争点がほぼ解消されたことも選挙に影響を及ぼしました。

2. 候補者の指名

民主共和党は、連邦議員による党員集会で国務長官のジェームズ・モンローとニューヨーク州知事のダニエル・D・トンプキンスを公式に指名しました。モンローは党内の候補者選定過程において、ウィリアム・クロウフォードと接戦を繰り広げ、接戦の末に選ばれました。対する連邦党は正式な候補者を決定できず、ただニューヨーク州選出の上院議員ルーファス・キングに支持が集まりました。

3. 一般選挙と論争

選挙人投票が行われる日、1817年2月12日にアメリカ合衆国議会の上下院が合同で集まりました。票の集計はスムーズに始まりましたが、インディアナ州の票の取り扱いを巡って論争が勃発します。下院議員ジョン・W・テイラーはインディアナ州の票は準州のものであり、有効ではないと主張しました。問題となったのは、インディアナ準州が州としての権限を得る過程で、選挙人の投票日が憲法に定める「単一の日」となっているかどうかでした。テイラーの異議に対しては、各議員が反論し、結局、集計は進行することになりました。

4. 結果

この選挙の結果、モンローは19州のうち16州を獲得し、圧倒的な勝利を収めました。キングが勝利した3州では、各州が異なる副大統領候補に票を投じており、特にメリーランド州では抗議の意味で白票が多数投じられた結果、モンローが全ての票を獲得することになったのです。

この1816年の選挙は、アメリカ政治史の中で重要な転機をもたらし、連邦党の崩壊と民主共和党の台頭を決定づけた選挙でした。モンローは、その後の大統領として国の方向性に多大な影響を与え、アメリカの発展に寄与しました。

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