1853年の相撲

1853年（嘉永6年）は、日本にとって歴史の転換期となる出来事が起こった年として知られています。その一つが、マシュー・ペリー率いるアメリカの黒船艦隊の浦賀来航です。この出来事は、日本の社会全体に大きな影響を与えましたが、相撲界もその例外ではありませんでした。

黒船来航と力士たちの活躍

黒船来航の際、江戸相撲の年寄たちは、異国からの来訪者に対する警備の一環として、力士たちを浦賀に派遣することを願い出ました。そして、1853年4月2日（旧暦2月24日）、力士たちは海岸でその力強さを披露することになります。彼らは、米五斗俵を差し上げたまま歩くというパフォーマンスを行い、これを見た外国人たちは、その圧倒的な力に驚愕したと伝えられています。

さらに、仮御殿では土俵入りと稽古相撲も披露されました。特に、小柳常吉という力士は、アメリカの水兵3人を一度に相手にし、一瞬にして倒したという逸話が残っています。これらの出来事は、相撲が単なる興行だけでなく、日本の武道としての側面も持ち合わせていることを示すものであり、異文化交流の中で、日本の文化と力の象徴として、その存在感を示しました。

1853年の相撲興行

この年、江戸相撲では2回の本場所が開催されました。2月場所は、本所回向院で10日間の晴天興行として行われました。また、11月場所も同じく本所回向院で10日間の晴天興行として開催されています。一方、大坂相撲では6月場所に北堀江で興行が行われました。

これらの興行は、当時の相撲の人気ぶりを示すものであり、多くの人々が力士たちの勇姿に魅了されたことでしょう。

まとめ

1853年は、黒船来航という歴史的な出来事によって、日本全体が大きな変化に直面した年でした。相撲界もその影響を受け、力士たちが異国の人々の前でその力を示すという、特別な出来事を経験しました。また、江戸と大坂での興行も盛況で、相撲が当時の人々の生活に深く根付いていたことがうかがえます。この年は、相撲の歴史においても特筆すべき年であり、その後の相撲界の発展にも影響を与えたと言えるでしょう。

参考資料

* 酒井忠正『日本相撲史 上巻』ベースボール・マガジン社、1956年6月1日。

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