1857年ジェームズ・ブキャナン大統領就任式

第15代アメリカ合衆国大統領、ジェームズ・ブキャナンの就任式と演説

1857年の3月4日水曜日、アメリカ合衆国の第15代大統領ジェームズ・ブキャナンの就任式がワシントンD.C.の議会議事堂のイーストポルティコで執り行われました。この式典は歴史的に重要であり、大統領としてブキャナンが任期を開始したことを象徴しています。この日は、ブキャナンと副大統領ジョン・C・ブレッキンリッジが共に新たな政治の舵を取るべく立ち上がる瞬間でした。ブキャナンの就任は、最高裁判所長官ロジャー・B・トーニーによって宣誓され、映像記録が残る初の就任式でもありました。

就任演説の内容

就任演説の中で、ブキャナンは奴隷制に関する西部の領土問題について触れました。彼は1854年に制定されたカンザス・ネブラスカ法を支持し、その法に基づいて人民主権による投票が行われるべきだと訴えました。一方で、カンザス州に北部と南部の住民が集まり、互いに有利に働くように票を操る不正行為や、それに起因する暴力事件については一切言及しませんでした。この点については、彼が奴隷制という重大な問題に対し、強い態度を示さなかったことが批判されています。

また、ブキャナンはドレッド・スコット事件に関する最高裁の意見を支持する姿勢を明らかにし、これがさらなる論争の火種となりました。さらに、経済政策についても言及し、国益を守るために海軍を拡充することや、カリフォルニアなどの西海岸の領土を守るために大西洋横断道路の整備を推進することを提案しました。ロッキー山脈の難所を指摘しつつ、国家の重要なプロジェクトであると主張しました。

演説の締めくくりとして、ブキャナンはアメリカの歴史における新天地獲得の経緯を説明し、アメリカの進出は平和的に進んできたこと、さらには父性的な影響力によって経済と貿易が発展してきたと述べました。特にこのスピーチは、国家の繁栄に向けた強い意志を示すものでした。

論争の発端

就任式中、ブキャナンとロジャー・トーニーの二人が小声で私語を交わしている様子が目撃され、この光景は多くの議論を呼び起こしました。ブキャナンが演説中に、奴隷制に関する紛争を「迅速かつ最終的」に解決するための最高裁の判決が間もなく出ると述べた直後、その二日後にドレッド・スコット対サンフォード裁判の判決が最高裁から発表されました。このことから、共和党支持者たちは、ブキャナンとトーニーの間で判決前に不適切な協議が行われたのではないかと疑ったのです。

実際、ブキャナンは就任の二ヶ月前に、他の議員との手紙の中でそのような協議をしていたことが明らかになっています。この件は行政と司法の分離原則を侵すものとして、彼に対する反発を一層強めました。

参考資料と関連項目

このような歴史的な就任式や演説は、後世に大きな影響を与えました。ブキャナン政権や1856年の大統領選挙について知ることで、当時のアメリカの政治的な状況をより深く理解する手助けとなるでしょう。

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