1868年の相撲

1868年の相撲界：戊辰戦争の激動と天覧相撲

1868年（慶応4年/明治元年）は、日本が戊辰戦争という内戦の只中にあった年であり、相撲界もその影響を大きく受けました。この年、相撲界では、力士たちの動向、興行の中止、そして歴史的な天覧相撲の実施など、さまざまな出来事が起こりました。

戊辰戦争と力士たちの動向

戊辰戦争の勃発により、多くの力士たちが戦乱に巻き込まれました。薩摩藩抱えの陣幕久五郎や庄内藩抱えの朝日嶽鶴之助といった有力な力士たちは、藩主に従い江戸を離れ、戦場へと赴きました。彼らは力士としての活動を一時中断し、武士として戦いに身を投じることになったのです。

大坂相撲の苦境

一方、大坂相撲は、江戸から力士を招聘することができなくなり、大きな打撃を受けました。江戸系の力士が不在となったため、大坂相撲は、帰参した陣幕らの生え抜きの力士のみで番付を編成せざるを得ませんでした。しかし、社会情勢の不安定さから、興行は中止に追い込まれ、大坂相撲は苦境に立たされました。

明治天皇による天覧相撲

このような混乱の中、1868年5月9日（慶応4年4月17日）、明治天皇が大阪行幸の際に座摩神社を親拝され、その後、境内の相撲場にて京都相撲の取組を天覧されました。これは、天皇が相撲を観戦された歴史的な出来事であり、混乱した時代の中での一つの希望の光となりました。

1868年の相撲興行

1868年の相撲興行は、社会情勢の影響を大きく受けました。

6月場所（江戸相撲）：
興行場所：本所回向院
9月場所（大阪相撲）：
興行場所：難波新地
世情が不安定だったため、場所は開催されませんでした。

このように、1868年の相撲界は、戊辰戦争という激動の時代の中で、大きな変化と困難に直面しました。しかし、その中で行われた天覧相撲は、相撲の歴史における重要な出来事として記録されています。

参考資料

酒井忠正『日本相撲史 上巻』ベースボール・マガジン社、1956年6月1日。
* 酒井忠正『日本相撲史 中巻』ベースボール・マガジン社、1964年6月1日。

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