陣幕久五郎

陣幕久五郎（じんまく きゅうごろう）

陣幕久五郎は、1829年6月4日に出雲国意宇郡意東村（現・島根県松江市東出雲町下意東）に生まれた大相撲力士です。本名は石倉槇太郎で、入門時は滝登部屋に所属し、後に秀ノ山部屋に転籍しました。彼は江戸時代最後の横綱であり、その強さから「負けず屋」と呼ばれていました。

相撲との出会い

陣幕は14歳の時、兄と友人と共に海釣りを楽しんでいた際、ある天体の異変を経験しました。その出来事がきっかけとなり、相撲で名を挙げることを決意し、力士としての道を歩み始めました。1847年、彼は大坂相撲に飛び入り参加し、自信を深め、地元の力士・初汐久五郎の弟子となることでその力量を認められました。

土俵でのキャリア

初汐没後、陣幕は大坂相撲に復帰し、1850年に初土俵を踏みました。その後、新入幕を果たし、江戸相撲に移籍して秀ノ山部屋に所属しました。彼は徳島藩の抱え力士としてスタートしましたが途中から松江藩、さらには薩摩藩へと所属が変わりました。この転籍が彼の後の活動に役立つ反面、藩士たちの間での嫌悪感も招きました。

1866年には大関に昇進し、翌年に横綱免許を受けたのですが、横綱としての在位は非常に短いものでした。同年の4月場所で鬼面山谷五郎と対戦し、試合は引き分けに終わりましたが、その際の緊迫した雰囲気は今でも語り継がれています。

明治維新とその後

明治維新の影響を受けた陣幕は、再び江戸相撲から離れて大阪相撲の頭取総長として活躍しました。彼は大阪相撲を存続させ、東京相撲と同等の地位に引き上げることに尽力しました。1873年には天覧相撲で取組を編成し、その後3年の引退後は実業界へと転身しました。

建碑活動と影響

実業家としての彼は、相撲関係の建碑事業に力を注ぎ、さまざまな地域に相撲に関する碑を建立しました。政財界の要人たちが彼の活動を支援し、特に薩摩藩の元藩士としての関係が大いに役立ちました。彼は晩年には横綱煎餅を販売するなどして、相撲界に足跡を残しました。

死去と遺産

1903年10月21日に74歳で亡くなった陣幕は、彼の遺言に従い、特製の檜製棺に横綱として葬られました。彼の墓は東京都品川区や広島県尾道市に存在しています。また、彼の名を受け継ぐ年寄名跡「北陣」は現在も続いており、陣幕は大相撲の歴史において特別な存在となっています。

まとめ

陣幕久五郎の人生は、相撲界における彼の成績やエピソードと共に、多くの人々の記憶に残っています。自伝や功績、そして相撲道の極意が彼により語られていることからも、その影響力は計り知れません。

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