1868年アメリカ合衆国大統領選挙

1868年アメリカ合衆国大統領選挙

1868年11月3日に行われたアメリカ合衆国の第21回大統領選挙は、レコンストラクション時代における最初の選挙として特に重要です。元アメリカ連合国の3州（テキサス州、ミシシッピ州、バージニア州）は、当時アメリカ合衆国への再加盟を許可されておらず、そのためこれらの州では選挙が行われませんでした。この結果、全体としての投票数が限られる中で選挙が進行したのです。

現職のアンドリュー・ジョンソン大統領は、多くの支持者を失い、民主党の指名を受けることができずにいました。彼の代わりに、民主党からはホレイショ・シーモアが候補として選ばれました。一方、共和党は南北戦争の英雄、ユリシーズ・グラント将軍を候補に立てました。グラントは北部で非常に人気が高く、南部の元奴隷たちが投票権を持つことにも対応していたため、圧倒的に有利な立場でした。

バックグラウンド

レコンストラクションとは、南北戦争後に南部州の再建と解放された奴隷の社会的地位の向上を目指す一連の政策のことです。この時期、北部と南部の間ではこの問題に関する激しい議論が繰り広げられました。シーモアは、白人至上主義的な立場から「これは白人の国だ、白人に支配させろ」というスローガンを掲げて選挙キャンペーンを展開しました。

候補者の指名

共和党の候補者

• - ユリシーズ・グラント：イリノイ州出身のアメリカ陸軍司令官で、全会一致で候補に選ばれました。副大統領候補にはスカイラー・コルファクスが指名されました。

• - ジョン・A・J・クレスウェル（メリーランド州出身）、元アメリカ合衆国上院議員、他に多くの候補者が名乗りを上げましたが、最終的にグラントが選ばれました。

民主党の候補者

• - ホレイショ・シーモア：元ニューヨーク州知事で、317の代議員票を獲得しました。
• - アンドリュー・ジョンソン：現職大統領でしたが、候補として支持を得られず、シーモアが代わりに指名されました。彼の支持基盤は失われており、このことが選挙結果に影響しました。

一般選挙の結果

グラントは一般選挙において全州での勝利を収め、最終的に大統領に選ばれました。レコンストラクションが進行中であったため、テキサス州、ミシシッピ州、バージニア州が参加できなかったことは、選挙結果に影響を与えました。全体で31州からの投票が行われたうち、グラントは圧倒的な支持を受ける結果となりました。

共和党は、黒人の選挙権を憲法で明記するためのアメリカ合衆国憲法修正第15条の通過を目指しました。この動きは、北軍の勝利を守るための重要なステップとなると考えられました。

接戦だった州

選挙ではいくつかの州で接戦が見られ、特にカリフォルニア州やオレゴン州ではわずかな得票差で勝敗が決まりました。これらの接戦州は、政治的な力関係が地域によって異なることを実証するものでした。得票率が1%未満のなどの接戦があったことは、両党の支持が地域によってどれほど変わりやすいかを示しています。

このように、1868年の大統領選挙は、レコンストラクションの政策や南北戦争後の社会の変化が色濃く反映された重要な選挙でした。

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