1892年のメジャーリーグベースボール

1892年のメジャーリーグベースボール：変革とスターの誕生

1892年、メジャーリーグベースボール（MLB）は大きな変革期を迎えました。前年にアメリカン・アソシエーションが解散したことを受け、ナショナルリーグは4球団を新たに迎え入れ、8球団から12球団へと拡大。この体制は1899年まで続きました。

前後期制の導入とボストン・ビーンイーターズの優勝

この年のペナントレースは、変則的な形式で行われました。4月から7月までを前期、7月から10月までを後期に分け、それぞれの優勝チームがプレイオフで年間王者を決定するという方式が採用されたのです。前期はボストン・ビーンイーターズ、後期はクリーブランド・スパイダーズが制し、シーズン終了後に対戦。結果、ボストン・ビーンイーターズが4勝1敗で年間優勝を果たしました。このような前後期制が採用されたのは、MLB史上1892年と、1994年のストライキによる短縮シーズンのみです。

ボストン・ビーンイーターズは、万能選手のキング・ケリー、俊足のトミー・マッカーシー、そして360勝投手のキッド・ニコルズといった、後に殿堂入りを果たす名選手を擁し、1891年から1893年まで3連覇を達成した強豪チームでした。

新たなスターの台頭

キッド・ニコルズ は、1890年にビーンイーターズに入団して以来、安定した成績を残し続けました。1891年から1898年までの間に7度も30勝以上を記録し、15年間で通算360勝を達成。1949年に殿堂入りを果たしています。

ダン・ブローザース は、「1880～90年代のベーブ・ルース」と称された強打の一塁手です。1879年にデビュー後、数球団を渡り歩きながらも、14年連続で3割をマーク。首位打者を5度獲得するなど、輝かしい実績を残しました。1892年にはブルックリン・グルームズに移籍し、打率.335、最多安打197本、最多打点124という圧倒的な成績で首位打者に輝いています。生涯本塁打106本、生涯打率.342という記録を残し、1945年に殿堂入りしました。

そして、後期優勝を果たしたクリーブランド・スパイダーズには、若きエース サイ・ヤング が台頭しました。入団3年目のこの年、サイ・ヤングは36勝12敗、防御率1.93という驚異的な成績を収め、リーグ最多勝と最優秀防御率のタイトルを獲得。その名を轟かせました。生涯通算511勝というMLB歴代最多勝利記録保持者であり、その功績を称え、現在では最優秀投手に贈られるサイ・ヤング賞にその名が残っています。

その他の記録

9月21日には、ジョン・クラークソンが史上5人目の通算300勝を達成しました。

1892年は、MLBにとって変革の年であり、同時に新たなスターが誕生した年でもありました。この年の出来事は、その後のMLBの歴史に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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