1900年 (映画)

映画『1900年』：激動の20世紀イタリアを彩る壮大な人間ドラマ

『1900年』（原題：Novecento）は、1976年に公開されたベルナルド・ベルトルッチ監督によるイタリア、フランス、西ドイツ、アメリカの合作映画です。この作品は、20世紀初頭から第二次世界大戦終結までのイタリア現代史を背景に、異なる階層に生まれた二人の男性の生き様を軸として物語が展開されます。

物語の概要

物語は、1945年4月25日、イタリア解放の日に始まります。ポー川流域の農村地帯で、戦争が終わったにも関わらず、若者が狙撃される場面から、ファシストの残党狩りが行われる様子が描かれます。この混乱の中で、農民たちはファシストの象徴であるアッティラとその妻レジーナを捜索します。アッティラの雇い主であった地主アルフレードは、農民のリーダーであるレオニダに捕らえられます。レオニダがファシストに抵抗した農民オルモを崇拝していることを知ったアルフレードは、オルモが自身の幼馴染であり親友であったことを思い出します。物語は、1901年に遡り、オルモとアルフレードという二人の赤ん坊が生まれた時へと展開していきます。

第一部：幼少期から第一次世界大戦へ

1901年、地主ベルリンギエリ家の息子アルフレードと、小作人の孫オルモが誕生します。二人は幼少期を共に過ごし、喧嘩をしながらも友情を育みます。しかし、成長するにつれて、それぞれの立場が鮮明になっていきます。夏の祭りの日、アルフレードの祖父であるベルリンギエリは自身の老いを痛感し、自殺します。息子のジョヴァンニは、父の遺言状を偽造して地主の地位を手にします。一方、小作人の賃金を大幅にカットされた農民たちはストライキを起こし、レオが亡くなります。オルモは第一次世界大戦に従軍し、帰郷後、農園管理人アッティラと対立します。

オルモは、教師アニタと恋に落ち、結婚します。一方、アルフレードは、モダンな女性アダと恋に落ち、愛を育みます。しかし、アッティラの横暴はエスカレートし、仲間達を焼き殺され、オルモと農民たちは深い悲しみに包まれます。そして、アルフレードとアダは愛を確かめ合い結ばれます。

第二部：ファシズムの台頭と解放

1922年、アルフレードは父の死後、地主となり、アダと結婚します。一方、オルモは、アニタとの間に娘をもうけますが、アニタは出産後に亡くなります。アルフレードの結婚式当日、アッティラは少年を殺害し、その罪をオルモになすりつけます。アッティラの行動に深く傷ついたアダは、アルフレードの無力さに失望します。

アッティラはファシストの幹部として権力を拡大し、農民たちを苦しめます。しかし、農民たちはアッティラに反抗し、彼を打ちのめします。オルモは、アッティラから逃れるために姿を消します。アダはアルフレードに見切りをつけ、ベルリンギエリ家を去ります。1945年4月25日、解放の日を迎え、オルモの娘アニタは農民たちを励まします。アッティラは捕らえられ、自身の罪を告白し処刑されます。死んだと思われていたオルモが帰還し、アルフレードは農民たちによる人民裁判にかけられます。オルモはアルフレードの命を救い、二人は和解します。老いたアルフレードとオルモは、少年時代の思い出の場所で、再び共に過ごすこととなります。

主な登場人物

ベルリンギエリ家:
アルフレード・ベルリンギエリ（祖父）：初代。ジョヴァンニの父。
オッタビオ・ベルリンギエリ：アルフレードの伯父（ジョヴァンニの兄）。
ジョヴァンニ・ベルリンギエリ：二代目。アルフレードの父。
アルフレード・ベルリンギエリ：三代目。地主の次男の息子。
アダ・フィアストリ・ポーラン：アルフレードの妻。
レジーナ：アルフレードの従妹。
アッティラ・メランキーエ：農園管理人。ファシストの幹部。
ダルコ家:
レオ・ダルコ：小作人頭。オルモの祖父。
オルモ・ダルコ：レオの孫。アルフレードの幼馴染。
アニタ・フルラン：オルモの妻。
アニタ (娘)：オルモとアニタの娘。
その他:
ピオッピ未亡人：地主の妻。
レオニダ少年：村の少年。オルモを尊敬している。

作品の背景と評価

この映画は、20世紀初頭のイタリアの社会構造や政治状況を背景に、人間の複雑な感情や社会的な矛盾を描いています。監督のベルトルッチは、この作品を通して、ファシズムの台頭、階級間の対立、そして人間の尊厳といった普遍的なテーマを追求しました。当初の製作費を大幅に超過するなど、製作面でも多くの苦労がありましたが、その映像美と壮大なストーリーは、今なお多くの映画ファンを魅了しています。

『1900年』は、歴史の激流の中で翻弄される人々の姿を、圧倒的なスケールで描き出した傑作として、映画史にその名を刻んでいます。

外部リンク

TCM Movie Database (英語)
Rotten Tomatoes (英語)
allcinema
KINENOTE
オールムービー (英語)
IMDb (英語)

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