1908年アメリカ合衆国大統領選挙

1908年アメリカ合衆国大統領選挙の概要

1908年11月3日に実施されたアメリカ合衆国大統領選挙は、第31回の選挙であり、当時人気のあったセオドア・ルーズベルト大統領が3期目を目指さないとの約束を守り、親友のウィリアム・タフトを後継者として指名するという形で展開されました。

候補者の指名

共和党

共和党の大会はシカゴで開催され、タフトがルーズベルトの推薦を受けて大統領候補となりました。タフトの他には、イリノイ州出身の下院議長ジョーゼフ・キャノンや、ニューヨーク州知事チャールズ・エヴァンズ・ヒューズなど著名な候補者がいました。タフトは、現職副大統領のジェームズ・S・シャーマンを副大統領候補として指名しました。

民主党

一方、民主党はコロラド州デンバーで行われた大会で、過去2回の選挙で候補者として名を馳せたウィリアム・ジェニングス・ブライアンを再び選びました。ブライアンは党内での圧倒的な支持を得て、選挙活動を開始しました。

選挙運動

ブライアンの選挙運動は「特権による政府」を批判するリベラルなアプローチを取るもので、彼のスローガン「人民は支配するか？」は数多くのポスターやキャンペーン資材に掲げられました。しかし、タフトはブライアンの進歩主義的な提案を一部受け入れ、彼の支持基盤を狭めました。

また、共和党は「今はタフトに投票しよう。ブライアンへの投票はいつでもできる」という横断幕を掲げ、ブライアンの過去の敗北を強調しました。このことから実業界の支援を受けた共和党が強みを持つ一方で、ブライアンは労働者層の投票を確保できずに苦戦しました。

結果

最終的に、タフトが圧倒的な差をつけて勝利を収め、ブライアンは過去の選挙の中で最も劣悪な結果を記録しました。この選挙において、タフトは北部の州をほとんど制覇し、一般投票では8%の差をつけました。ブライアンはこの結果をもって、以後の大統領選挙への出馬を断念し、1912年の候補者指名などで重要な役割を果たす立場となりました。

選挙には46州が参加し、オクラホマ州は前年に州となったばかりでした。接戦が多く、ミズーリ州やメリーランド州などで僅差の勝負が繰り広げられました。選挙の結果は、党の今後の戦略にも影響を与え、タフトの当選は共和党の方向性を大きく左右する出来事となりました。

この選挙は、アメリカの政治史において重要な転換点をもたらし、多くの教訓をも残すことになりました。

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