1912年ストックホルムオリンピックの綱引競技

1912年ストックホルムオリンピック 綱引競技：幻の一戦

1912年ストックホルムオリンピックの綱引競技は、当初の計画とは大きく異なり、たった一試合のみで勝敗が決するという異例の事態となりました。この背景には、いくつかのチームが参加を取りやめたという事情があります。

大会概要と参加国の状況

元々、オーストリア、ボヘミア、ルクセンブルクを含む複数の国が参加を予定していました。総当たり戦を行う予定でしたが、これらの国が相次いで不参加となったため、最終的にはスウェーデンとイギリスのみが試合を行うことになったのです。

スウェーデン代表は地元ストックホルム警察のチーム、対するイギリス代表は前回大会の覇者であるロンドン市警察でした。地元開催で勢いに乗るスウェーデンか、それとも実力で勝るイギリスか、注目が集まりました。

試合の展開

試合は1912年7月8日に実施されました。3回戦2本先取制というルールで行われ、1回戦はスウェーデンが圧倒的な力を見せつけ、イギリスを難なく引き寄せ勝利しました。地元の大声援を受け、スウェーデンチームは勢いに乗っていました。

続く2回戦は、一転して両チームが互角の力を発揮し、膠着状態が長く続きました。どちらも一歩も引かない展開でしたが、最終的にはロンドン市警察の選手2名が疲労のあまり座り込んでしまい、失格という形でスウェーデンの勝利が決定しました。

幻の金メダル

当初予定されていた総当たり戦が行われなかったため、実質的に1試合のみで金メダルが決定するという、オリンピック史上でも非常に珍しいケースとなりました。スウェーデン警察チームは、地元開催という地の利を生かし、見事金メダルを獲得しました。

大会後の影響

この大会以降、綱引競技はオリンピックから除外されることとなりました。しかし、1912年ストックホルムオリンピックにおける綱引競技は、その特異な状況とドラマチックな展開から、オリンピック史における興味深いエピソードとして語り継がれています。

参考文献

Bergvall, Erik (ed.) (1913). Adams-Ray, Edward (trans.).. ed. The Official Report of the Olympic Games of Stockholm 1912. Stockholm: Wahlström & Widstrand
Wudarski, Pawel (1999年). “Wyniki Igrzysk Olimpijskich” (ポーランド語). 5 August 2007閲覧。

もう一度検索