1912年ストックホルムオリンピック

1912年ストックホルムオリンピック

1912年5月5日から7月22日まで、スウェーデンのストックホルムで開催された1912年ストックホルムオリンピックは、オリンピック史の中で重要な位置を占めています。競技会には28か国から2406名の選手が参加し、その中には47名の女性選手も含まれています。大会は18競技で102種目が行われ、各国の選手たちの熱い戦いが展開されました。

大会の特徴と新たな挑戦

オリンピックの開会式は7月6日に行われましたが、テニスは5月5日にすでに始まっていました。また、サッカーと射撃は6月29日からスタートしました。開催地は1909年に決定され、ストックホルム以外の候補地はなかったため、スウェーデンにとっては名誉ある大会となりました。

特筆すべきは、日本が初めてアジアの国としてオリンピックに参加したことです。陸上競技に出場した三島弥彦と金栗四三という2名の選手たちがその栄誉を担いました。残念ながら、三島は400メートルの準決勝で棄権し、金栗はマラソンに参加しました。金栗は54年8ヶ月6日5時間32分20秒3という記録を残しました。これは「世界一遅いマラソン記録」として語り継がれています。実はこの大会中、マラソンで競技中に倒れて翌日死亡したポルトガルの選手、フランシスコ・ラザロが出たことで、オリンピック競技史上初の死亡事故が記録されました。さらに、エジプト、セルビア、アイスランドもこの大会で初めてオリンピックに参加しました。

新競技の実施

このオリンピックでは、特に女性選手も新たに参戦し、テニス、飛込、水泳といった競技で活躍しました。また、いくつかの競技が新たに採用されました。それは、自転車のロードレース、馬術（馬場馬術、総合馬術）、馬術の障害飛越、そして近代五種競技です。これらの競技は、次回以降のオリンピックでも実施されることが決まりました。反対に、レスリング（フリースタイル）、アーチェリー、ボクシングなどは次回以降のオリンピックで復帰しましたが、ラグビーユニオンやラクロスはその後、しばらく実施されませんでした。

主なメダリストと栄光

多くのアスリートたちがこの大会で見事な成績を収めました。金メダルを獲得した中には、アメリカのラルフ・クレイグ（男子100m陸上）やフィンランドのハンネス・コーレマイネン（5000m、10000m、クロスカントリー）などがいます。特筆すべきは、アメリカのジム・ソープで、彼は五種競技と十種競技での金メダルを獲得しましたが、優勝後に発覚した野球に関する問題で、その金メダルは没収されました。しかし、1983年には復権が認められました。

スウェーデンでは、オスカー・スバーンが64歳という史上最年長の金メダリストとして名を刻みました。彼は射撃の団体戦で金メダルを獲得し、歳月を超えた驚異の業績として記録されています。

日本の特別な伝説

1912年のオリンピックでの日本選手団は、入場行進時に「NIPPON」と表記されており、これはオリンピック史上唯一の例となっています。この特別な表記を決定したのは嘉納治五郎で、彼は選手団の団長を務めました。大会中、金栗四三は棄権したにもかかわらず、ゴールの瞬間に正式に結果をアナウンスされるというユニークな体験を持ち、観衆からは感動的な拍手が送られました。

金メダルは当時、純金製であり、現在では金メッキ製であることは良く知られています。オリンピックはスポーツの頂点であると同時に、多くの歴史的エピソードをも生んでいます。

ストックホルムオリンピックは、スポーツと人間の精神の探求の場となったことは間違いありません。

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