1928年のル・マン24時間レース

1928年、フランスのサルト・サーキットにて開催された第6回ル・マン24時間レースは、33台の車が参加し、激しい戦いを繰り広げました。前年と比較して参加台数はそれほど多くはありませんでしたが、注目すべきは外国車の増加です。中でもアストンマーティンが初参加を果たしたことは、レース史に新たな一ページを刻む出来事となりました。

この1928年大会を境に、ル・マン24時間レースの様相は大きく変化していきます。それまでフランス車が中心だったレースに、イギリス車やイタリア車の参加が急速に増えたのです。この傾向はその後も続き、ル・マン24時間レースは、名実ともに国際的なモータースポーツの祭典としての地位を確立していくことになります。

レースは、フランスのシュトゥッツとイギリスのベントレーによる、手に汗握るトップ争いが展開されました。両チームは互いにしのぎを削り、次々とコースレコードを更新するなど、観客を興奮の渦に巻き込みました。その結果、最後まで激しい戦いが続いたものの、完走台数は17台という結果に終わりました。

そして栄冠を掴んだのは、ウルフ・バーナートとバーナード・ルービン組がドライブするベントレー・4½リットル4号車でした。この車は24時間という長丁場のレースで、2669.272kmという驚異的な距離を、平均時速111.219kmという驚異的な速さで走り抜けたのです。

このレースにおけるベントレーの勝利は、イギリス車の躍進を象徴する出来事でした。また、フランス車以外の参加増加は、ル・マン24時間レースが国際的なレースへと発展していく過程を示す重要な出来事と言えます。コースレコードの更新劇は、レースの技術革新と参加者の高いレベルを示しており、自動車技術史においても重要な位置づけを占めるレースとなりました。

1928年のル・マン24時間レースは、単なるモータースポーツのイベントではなく、自動車産業や国際関係においても大きな意味を持つ出来事でした。そして、このレースは、その後数十年間にわたって続くル・マン24時間レースの伝統と歴史の礎を築いたと言えるでしょう。このレースに関する詳細な情報は、『ルマン 伝統と日本チームの戦い』（グランプリ出版）、ドミニク・パスカル著『ル・マンの英国車』（ネコ・パブリッシング）、黒井尚志著『ル・マン 偉大なる草レースの挑戦者たち』（集英社）などの文献に記されています。これらの文献は、この歴史的なレースの様々な側面を詳細に解説しており、より深く理解するために役立つでしょう。

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