1934年度の将棋界

1934年度将棋界：激動の時代、新たな時代の幕開け

1934年度（昭和9年4月～昭和10年3月）の将棋界は、後の発展の礎となる出来事が数多く発生した、重要な一年となりました。新聞社主催の公式戦の開催、東西対抗戦、そして何よりも、名人制度改革の機運が高まった時代でした。

新聞社主催の選手権戦と東西対抗戦

まず注目すべきは、東京日日新聞と大阪毎日新聞（現・毎日新聞）が主催した「全日本将棋選手権戦」です。32名の棋士が出場し、四段から五段以上の棋士がしのぎを削る熱戦が繰り広げられました。

ほぼ同時期に、大阪朝日新聞所属の「十一日会」の神田辰之助七段と、東京の日本将棋連盟（旧）の七段棋士7名による対抗戦が行われました。この対抗戦は、東西の棋士の実力差を測るだけでなく、将棋界全体の活性化に大きく貢献したと言えるでしょう。神田七段は惜しくも3勝4敗と負け越しましたが、その熱戦は多くの将棋ファンを魅了しました。

名人制度改革：新たな時代の到来

1934年度後半から1935年度にかけて、将棋界を揺るがす大きな出来事が発生しました。それまで推挙制であった名人制度について、関根金次郎名人が抜本的な改革が必要と判断。改革案の起草を日本将棋連盟顧問の中島富治氏に一任したのです。

中島氏は名人戦創設案をまとめ、関根名人から快諾を得ます。その後、八段6名からなる「八段会」での討議を経て改革案は全員一致で可決。さらに、日本将棋連盟評議員会総会でも可決され、金易二郎会長と関根名人の声明発表をもって、名人制度改革は正式に決定しました。東京日日新聞はこの改革案を大きく報道し、国民的な関心を集めました。

新たな才能の開花

この時代のもう一つの重要な出来事として、大山康晴七段の木見金治郎八段入門があります。大山は木見門下として研鑽を積み、後に将棋界のレジェンドとなる礎を築きました。

1934年度将棋界を総括して

1934年度の将棋界は、新聞社主催の公式戦の開始、東西対抗戦、そして名人制度の大改革という、大きな変化の時代でした。これらの出来事は、将棋界の発展に大きく貢献し、現代将棋へと繋がる重要な一歩となったのです。また、新たな才能の台頭も、将棋界の未来を明るく照らす光となりました。これらの出来事は、後世の将棋史に深く刻まれる重要な出来事と言えるでしょう。

参考文献

加藤治郎、原田泰夫、田辺忠幸『［証言］将棋昭和史』毎日コミュニケーションズ、1999年9月。ISBN 4-8399-0255-0。
日本将棋連盟『将棋年鑑 昭和43年版』1968年。

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