1936年のNFLドラフト

1936年 NFLドラフト：歴史的背景と指名結果

1936年のNFLドラフトは、NFL史上初のドラフト会議として、1936年2月8日にペンシルベニア州フィラデルフィアのリッツ・カールトンホテルで開催されました。このドラフト制度導入の背景には、それまで自由競争で行われていた新人選手獲得による契約金高騰を避け、チーム間の戦力均衡を図るという目的がありました。NFLは、NBA、NHL、MLBに先駆けてドラフト制度を導入したのです。

ドラフト導入の経緯

1935年5月19日、NFL各チームのオーナーが集まり、1936年からのドラフト開催を決定しました。この決定には、後にNFLコミッショナーとなるバート・ベルも関わっていました。ドラフト制度では、前シーズンの成績下位チームから順に、大学の有望選手を指名していく方式が採用されました。NFLチャンピオンチームは最後に指名するというルールも設けられました。

当時のNFLは、資金力のあるチームに有望選手が集中し、戦力格差が拡大するという問題を抱えていました。ドラフト制度導入により、戦力均衡を図り、リーグ全体の競争力を高め、ファンの関心を維持・向上させることを目指しました。当時、テレビが普及していなかったため、NFLチームの収入は主にスタジアムへの観客動員に依存しており、リーグ全体の人気を高めることが重要な課題でした。

ドラフトの結果

1935年シーズンに2勝9敗で最下位となったフィラデルフィア・イーグルスが、全体1位指名権を獲得しました。この年のドラフトは9巡まで行われ、翌1937年のドラフトからは10巡まで指名されることになりました。全体1位で指名されたのは、ハイズマン賞受賞者のジェイ・バーワンガーでしたが、彼はNFLでプレーすることはありませんでした。イーグルスは彼を指名後、シカゴ・ベアーズに交渉権をトレードし、タックルのアート・バスを獲得しました。しかし、ベアーズのオーナー、ジョージ・ハラスもバーワンガーとの契約には至りませんでした。バーワンガーは、NFLでのプレーよりもビジネスに興味があり、契約金も十分な額ではなかったと語っています。全体2位で指名されたライリー・スミスが、ドラフトで最初に指名され、実際にNFLでプレーした選手となりました。

ポジション別指名選手

合計81名の選手が指名され、その内訳は以下の通りです。

バックス: 28名
ガード: 12名
ブロッキングバック: 2名
エンド: 15名
センター: 16名
テイルバック: 1名
オフェンシブタックル: 14名
フルバック: 4名
ウィングバック: 1名

殿堂入り選手

この年のドラフトで指名された選手の中から、4名がプロフットボール殿堂入りを果たしています。

ダン・フォートマン (9巡78位、シカゴ・ベアーズ): 1965年殿堂入り
ジョー・スタイドハー (1巡6位、シカゴ・ベアーズ): 1967年殿堂入り
ウェイン・ミルナー (8巡65位、ボストン・レッドスキンズ): 1968年殿堂入り
* タフィ・リーマンズ (2巡18位、ニューヨーク・ジャイアンツ): 1978年殿堂入り

1936年のNFLドラフトは、その後のNFLの歴史において重要な転換点となりました。戦力均衡とリーグ全体の人気向上という目的のもと導入されたドラフト制度は、現在もNFLの根幹をなすシステムとして機能しています。

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