オフェンシブタックル

オフェンシブタックル（OT）

オフェンシブタックル（Offensive Tackle, OT）は、アメリカンフットボールおよびカナディアンフットボールにおいて、攻撃ラインを構成するポジションの一つです。レシーバーの資格を持たない攻撃ラインの左右両端に位置し、チームの攻撃を支える重要な役割を担います。

役割

19世紀後半から20世紀前半にかけて、選手交代が自由でなかった時代には、オフェンシブタックルとディフェンシブタックルは区別されず、単に「タックル」と呼ばれていました。しかし、現代の分業制が進んだシステムでは、「タックル」と言えば通常、オフェンシブタックルを指すことが一般的です。

オフェンシブタックルの主な役割は、他の攻撃ラインと同様に、ランプレーとパスプレーにおいて相手ディフェンダーをブロックすることです。特に、攻撃ラインの外側を担当するため、他のポジションよりも高い俊敏性が求められます。状況判断能力と瞬発力も重要な資質となります。

種類

オフェンシブタックルには、主にライトタックル（RT）とレフトタックル（LT）の2種類があります。それぞれ役割が異なり、求められる能力も異なります。

ライトタックル（RT）

ライトタックルは、通常、チーム内で最も優れたランブロッカーが務めることが多いポジションです。主な役割は、守備側のランストッパーを確実に抑え込み、ランニングバックが走り抜けるための走路を確保することです。強靭なフィジカルと、相手の動きを予測する能力が求められます。

レフトタックル（LT）

レフトタックルは、通常、チーム内で最も優れたパスブロッカーが務めることが多いポジションです。現代フットボールにおいて、非常に重要な役割を担っています。その理由は、大半のクォーターバック（QB）が右利きであり、パスを投げる際に利き手ではない左側（死角）に背を向けるためです。相手ディフェンスのエースであるエッジラッシャーは、その死角を狙ってQBに襲いかかってきます。レフトタックルは、そのエッジラッシャーを完全に抑え込み、QBを保護することが最大の任務となります。そのため、高い技術と冷静な判断力、そして優れた反射神経が不可欠です。

もしクォーターバックが左利きの場合は、ライトタックルとレフトタックルの役割は逆になります。

レフトタックルの価値は非常に高く、チーム内でクォーターバックに次いで2番目に高い年俸を手にすることも少なくありません。2013年のNFLドラフトでは、全体1〜4位指名のうち3人がレフトタックルだったことからも、その重要性が伺えます。

背番号

オフェンシブラインの背番号は、NFLの規定により60番から79番と定められています。これは、ポジションを識別しやすくするための措置です。

オフェンシブタックルは、アメリカンフットボールにおいて、攻撃の成否を左右する非常に重要なポジションです。優れたオフェンシブタックルの存在は、チームの攻撃力を大幅に向上させます。

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