1946年のラジオ (日本)

1946年 日本のラジオ界

1946年は、第二次世界大戦が終結し、日本が復興への道を歩み始めた激動の時代において、ラジオ放送が国民生活に深く根差し、その役割を拡大していった重要な一年でした。

この年、日本のラジオ界における最も顕著な動きの一つは、日本放送協会（NHK）によるラジオ第2放送のサービス地域拡大です。9月1日には、新潟、静岡、松江、岡山、松山、福岡の各都市で新たに第2放送が開始されました。さらに、9月15日には秋田でも放送が始まり、情報や教育を主体とする第2放送のネットワークが全国へと着実に広がっていきました。これは、戦後の混乱期にあって、正確な情報伝達や社会教育の推進に対する需要の高まりに応えるものでした。

番組編成においても、この年は多岐にわたるジャンルの新番組が数多く誕生しました。戦後の社会情勢や国民のニーズを反映した、実生活に密着した番組や教養番組が特に充実しました。

年明け早々、1月には早くも新しい動きが見られます。7日には「労働ニュース」、15日には「復員だより」や「読書案内」といった、当時の社会背景を色濃く反映した番組がNHKラジオ第1放送で始まりました。また、16日には学生向けの「学生の時間」が、19日には後に国民的な人気番組となる「のど自慢素人音楽会」の前身ともいえる番組がスタートしました。

2月には語学学習のニーズに応える「英語会話」（1日）、文化的な側面では「日響の時間」（22日）が開始されました。3月5日には、民主主義の定着を目指す「民主主義講座」がスタートするなど、戦後日本の新たな国家体制や価値観の形成にラジオが積極的に関与しようとする姿勢が見て取れます。

4月20日には、社会的な論点について議論を深める「放送討論会」が始まり、言論の場としてのラジオの機能が強化されました。5月1日には、「市民の時間」、「録音ニュース」、「明日の市民」、「ラジオ歌謡」といった、より身近な市民生活やエンターテインメントに焦点を当てた番組が一斉に開始されました。続く2日には「名匠演奏」や「経営者の時間」、7日には「勤労者の時間」や連続放送劇「井田家の一とき」が始まるなど、多様な層に向けた番組提供が進みました。

その後も新番組の登場は続きました。6月23日には「今週の議会から」が始まり、政治への関心を高める試みがなされました。7月に入ると、1日には戦後の重要な課題であった行方不明者の情報を扱う「尋ね人」、2日には「スポーツニュース」が開始され、情報ジャンルが拡大しました。16日には連続放送劇「我が家の平和」、19日には国際情勢を伝える「世界の動き」が始まりました。特に7月16日には、ラジオ第2放送でも「カレント・イングリッシュ」、「物語」、そして20日には「浪花節」、「放送音楽会」といった、第1放送とは異なる特色を持つ番組が開始され、第2放送の独自性が確立されていきました。

8月22日には、戦後の重要産業を支える人々を励ます「炭坑へ送る夕」が、9月3日には地域密着型の「市民の時間」や「県民の時間」、16日には第一次産業従事者に向けた「漁村へ送る夕」が始まり、対象を絞った番組編成も進みました。10月26日には教育番組として「ラジオ民衆学校」が、そして12月3日には知識と情報を楽しく提供する「話の泉」がスタートし、年末まで多様な番組が追加されました。

番組名の変更としては、5月にはNHKラジオ第1放送の「街頭にて」が「街頭録音」と改題されています。

このように、1946年の日本のラジオ界は、放送網の拡充と番組内容の多様化という二つの側面で大きな進展を遂げました。これらの動きは、戦後復興期における情報伝達、社会教育、そして国民の娯楽において、ラジオが極めて重要な役割を担う基盤を築いたことを示しています。国民生活のあらゆる側面に光を当てた数多くの新番組の誕生は、困難な時代にあって人々に希望と活力を与えるラジオの力を証明するものでした。

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