1946年王政廃止に関するイタリアの国民投票

1946年イタリアの王政廃止国民投票

1946年6月2日、イタリアでは王制の是非を問う国民投票が行われ、結果としてイタリア王国は崩壊し、イタリア共和国が成立しました。この重要な歴史的出来事は、第二次世界大戦後の政治的変動の中で実施され、特にファシスト政権による抑圧からの解放を求める声が高まる中で行われました。

背景

ベニート・ムッソリーニ率いるファシスト政権が連合軍に降伏した結果、イタリアは混乱の時代を迎えました。1943年7月にファシスト政権が崩壊した後も、戦争は継続され、国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世は戦争継続を主張し続けましたが、実権は臨時政府、国民解放委員会（CLN）に委ねられました。

CLNにはキリスト教民主主義（DC）、イタリア社会党（PSI）、イタリア共産党（PCI）などの政党が参加しており、これらの政党はファシスト政権の終了を目指していました。特に左派勢力はサヴォイア家に対する強い批判を示し、王制廃止を強く主張しました。そのため、王制の是非を問う国民投票が実施される運びとなりました。

国民投票のプロセス

国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ3世は1946年5月に退位し、ウンベルト2世が新たな国王として即位しました。彼は国民の自由な意志に基づき政体を選択することを約束しました。投票日において、国民は王制存続か共和制かの選択を求められました。全体として共和制支持が多数を占めましたが、地域による違いが見られました。北部では共和制が支持された一方、南部では王政支持が多く見られました。

投票結果とその後の動き

投票結果は、全国的に見れば共和制が勝利したものの、南イタリアでは強い王政支持が表れました。特にナポリでは約80%の住民が王政存続を支持する票を投じました。この結果を受けて、ウンベルト2世は最高裁判所に異議申し立てを行いますが、6月18日にこれが棄却されました。それでも彼の支持者たちによる暴動が発生し、国全体に緊張が走りました。

臨時政府は投票の結果を待たずに王政を廃止すると決定し、ウンベルト2世は国外追放されることとなります。しばらくの間は首相アルチーデ・デ・ガスペリが政治を取り仕切り、後に制憲議会が招集され、1947年12月27日にイタリア共和国憲法が制定されます。

新たな国家体制の確立

イタリア共和国憲法には、共和政体が改正の対象とならないことが明記され、王政復古の動きを抑制しました。また、新しい国旗や国章のデザインも導入され、国は新しいアイデンティティを持つことになりました。これにより、イタリアは新たな歴史の一歩を踏み出したのです。

この国民投票とそれに続く出来事は、イタリアの歴史において重要な転換点であり、王政から共和制への移行は、国民の意志に基づく新しい政治体制の誕生を意味しました。

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