1951年のル・マン24時間レース

1951年、フランスのサルト・サーキットで開催されたル・マン24時間レースは、ジャガー、アストンマーティン、ベントレーといったイギリス勢に加え、戦後初参戦となるポルシェなど、錚々たる顔ぶれが60台のエントリーを記録しました。

ジャガーは前年の好成績を受け、新型レーシングカーCタイプを4台投入。3,441ccエンジンの搭載されたCタイプは、優勝候補の筆頭として注目を集めました。対するアストンマーティンは、2,581cc直列6気筒エンジンを搭載したDB2を5台投入。ベントレーも4,252cc直列6筒エンジンを搭載したコーニッシュで参戦するなど、イギリス勢は強力な布陣を敷きました。

一方、ドイツ勢の参戦は、いまだ戦後の影響が色濃く残る中、競技長シャルル・ファルーの招聘により実現しました。初参戦を果たしたポルシェは、フォルクスワーゲン製の1,086ccエンジンを搭載した356を2台投入。45PSという控えめな出力ながら、24時間を完走するための最低限の改造を施したのみで、ほぼ市販車と変わらない状態でレースに挑みました。この参戦は、ポルシェワークスチームにとっても初の国際レース参加となりました。

予選では、ポルシェの出場車両が1台減少。決勝レースでは、60台が出走する中、MGはピストン破損によりリタイア。ジャガーのスターリング・モス/ジャック・フェアマン組は一時トップを走行するも惜しくもリタイアとなりましたが、モスは4分46秒8という驚異的なラップタイム、平均速度169.356km/hを記録しました。

レースは、激しい競争の末、30台の完走という結果に終わりました。総合優勝は、ピーター・ウォーカー/ピーター・ホワイトヘッド組のジャガーCタイプ。24時間で3611.193kmを平均速度150.466km/hで走り抜き、ジャガーに初優勝をもたらしました。2位以下には、アストンマーティン、ナッシュ・ヒーリーなどが続きました。アストンマーティンは3位、5位、7位と上位入賞を果たし、その性能の高さを証明しました。ナッシュ・ヒーリーも6位と健闘しました。

注目すべきはポルシェの活躍です。ほぼ市販車状態の小排気量車ながら、総合20位、1.1リットルクラス優勝という結果を残しました。この結果は、ポルシェの潜在能力の高さを示し、以降ル・マン24時間レースにおいてポルシェが重要な存在となる序章となりました。

1951年ル・マン24時間レースは、ジャガーの初優勝、そして戦後復興の足取りの中で初参戦を果たしたポルシェの健闘など、数々のドラマが凝縮された、モータースポーツ史に残る一戦となりました。このレースは、イギリス勢とドイツ勢の競争、そしてジャガーCタイプの圧倒的な性能、そしてポルシェの潜在能力を示す、記憶に残るレースとなりました。多くの名車が登場し、それぞれのチームが技術と戦略を駆使して激しく競い合った様子は、今もなおモータースポーツファンの心を掴んで離しません。このレースが、後のル・マン24時間レースの発展に大きな影響を与えたことは言うまでもありません。

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