1952年の映画

1952年の映画界の動向

1952年は、映画界において重要な出来事が数多く発生した年でした。特に日本映画が世界の舞台で高く評価され、国際的な映画祭での受賞が注目されました。

国際的な出来事

この年、黒澤明監督の『羅生門』が、第24回アカデミー賞の外国語映画賞を受賞し、日本の映画が国際的に認知されるきっかけとなりました。この作品は、日本映画の素晴らしさを広め、後に多くの監督たちに影響を与えました。

また、5月にはカンヌ国際映画祭で杉山公平監督の『源氏物語』が撮影賞を受賞。さらに9月には溝口健二監督が『西鶴一代女』でベニス国際映画祭の国際賞（監督賞）を受賞し、グランプリの『禁じられた遊び』と並び称賛を浴びました。これらの受賞は、戦後復興期における日本映画の質の向上を実証するものでした。

米国では、シネラマ方式の大型映画『これがシネラマだ』がブロードウェイで公開され、映像表現の新たな試みが行われました。チャールズ・チャップリンは、非米活動委員会の喚問を拒否し、アメリカを去る決断を下しました。このように、映画界は革新と変革の時代に突入していたのです。

日本の映画界

日本国内でも映画産業は活発に動いていました。特に、アメリカ映画の新作が日本本国と同時に公開されるようになり、映画界の国際化が進展しました。1月には米国映画メジャーの日本支社が復活し、映画市場は活況を呈しました。また、外国映画輸入協会が設立され、国内での洋画上映が一層促進されました。

この年、松竹の研究生であり俳優の三國連太郎が東宝との契約を交わし、映画『戦国無頼』に出演するために新たな道を歩み始めました。しかし、その後松竹が彼を解雇するという異変が起こり、スターの引き抜きが活発になっていきました。

2月には大映が日米合作映画『いついつまでも』の製作を発表し、映画製作の国際的連携も強まっていきました。4月には、東京都千代田区に日活国際会館と日活ホテルがオープンし、日活が本社を移転。その影響で映画制作にさらなる弾みがつくことになりました。

さらに、5月には新理研映画が設立され、東京映画が創立されるなど、新しい映画会社の登場もあり、映画業界全体が活性化していました。特に5月29日に公開された源氏鶏太原作の『三等重役』は大ヒットし、その後の「社長シリーズ」へとつながる成功を収めました。

映画料金と観客動向

映画興行も盛況でした。東京の邦画封切館の大人入場料金は130円で、特に『風と共に去りぬ』が600円という高額で公開され、大ヒットを記録しましたが、大阪では期待外れの結果となりました。この年、映画館の入場者数は累計で8億3227万人に達し、映画が国民の娯楽として定着していく様子が見て取れます。

まとめ

1952年は日本と世界の映画界において、新たな試みと挑戦が目立った年でした。日本映画が国際的に評価され、多くの監督や俳優が名を馳せる一方、国内では映画産業が新たな発展を遂げていきました。この年の出来事は、映画の歴史においても重要な足跡を残しています。

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