1952年ヘルシンキオリンピック

1952年 7月19日から8月3日まで、フィンランドのヘルシンキで開催された第15回夏季オリンピック。この大会は、北欧で行われたオリンピックとしては1912年ストックホルム以来のものであり、多くの期待と注目が寄せられました。

大会開催までの経緯

大会開催の決定は、1947年 6月21日にストックホルムで行われた国際オリンピック委員会（IOC）の総会でなされました。ヘルシンキの他にはアムステルダムやロサンゼルスなど、合計七都市が候補として名乗りを上げました。最初の投票でヘルシンキは第一位となりましたが、過半数の票には一票足りず、最終的にはフィラデルフィアなど他の都市が脱落した後、ヘルシンキが選ばれることとなりました。

ハイライト

このオリンピックは、元々1940年に東京で開催される予定でしたが、日中戦争の激化により日本側が開催を返上しました。その後の第二次世界大戦の影響で、ヘルシンキでの開催が実現したのは12年後のことでした。この大会では、夏季オリンピックが格付けされる年数にカウントされるため、公式にはヘルシンキで行われた夏季オリンピックは2回目とされています。

大会直前の7月17日、IOC総会で中華人民共和国と中華民国の双方の参加が認められたものの、中華民国はこれに反発して参加を取りやめました。中華人民共和国はこの大会が初めてのオリンピック参加となり、世界的な注目を集めました。また、フィンランドの英雄パーヴォ・ヌルミとハンネス・コーレマイネンによって聖火が運ばれ、観衆は歓喜に包まれました。

日本は、第二次世界大戦後、実に16年ぶりとなる夏季オリンピックに参加したことから、特に多くの期待が寄せられていました。同様に、ソ連もオリンピックに初めて参加し、金メダル第1号を陸上競技女子円盤投のニーナ・ロマシェコワが獲得しました。

馬術競技では、男女を問わず男子参加が認められるようになり、デンマークのリス・ハルテルが競技初の女子金メダリストとして名を刻みました。さらに、チェコスロヴァキアのエミール・ザトペックは、5000メートル、10000メートル、マラソンの3つの長距離種目で金メダルを獲得し、その偉業に多くの称賛が寄せられました。また、ルクセンブルクのヨジー・バーテルが男子1500メートルで優勝し、驚きをもたらしました。

この大会は、2021年時点で夏季オリンピックが最も北緯の高い都市（ヘルシンキ）で行われたものであり、以降はメルボルン以南の夏季オリンピック開催が続いています。大会は、多くの競技と熱戦が繰り広げられ、それぞれの国がメダルを競い合いました。

主なメダリスト

金メダル

- 石井庄八（日本、レスリングフリースタイルバンタム級）
- エミール・ザトペック（チェコスロバキア、陸上競技男子5000m、10000m、マラソン）
- ハリソン・ディラード（アメリカ、陸上競技男子110mハードル）
- ロバート・リチャーズ（アメリカ、陸上競技男子棒高跳）
- シャーリー・ストリックランド・デ・ラ・ハンティ（オーストラリア、陸上競技女子80mハードル）

銀メダル

- 鈴木弘（日本、競泳男子100m自由形）
- 橋爪四郎（日本、競泳男子1500m自由形）
- 北野祐秀（日本、レスリングフリースタイルフライ級）
- アラン・ミムン（フランス、陸上競技男子5000m、10000m）

銅メダル

- 上迫忠夫（日本、体操男子跳馬）
- シャーリー・ストリックランド・デ・ラ・ハンティ（オーストラリア、陸上競技女子100m）

結論

1952年のヘルシンキオリンピックは、戦後の復興を象徴する大会であり、多くの国のアスリートが競い合い、数々の感動を生み出しました。オリンピックが持つ平和や友情のメッセージを再確認する場ともなり、歴史に名を刻む重要な大会となりました。

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