1957年ドイツ連邦議会選挙

1957年西ドイツ連邦議会選挙：戦後ドイツ政治の転換点

1957年9月15日、西ドイツ（当時ドイツ連邦共和国）では連邦議会選挙が行われました。この選挙は、戦後ドイツの政治状況を大きく変える転換点となりました。

選挙の背景

この選挙は、ザールラント州の西ドイツへの復帰を受けて、議席数が前回より10議席増え、494議席で行われました。選挙制度は、小選挙区比例代表併用制で、比例代表制の要素が強く、第2投票（政党名簿への投票）で有効投票総数の5％以上を獲得、または第1投票（選挙区候補者への投票）で3議席を獲得した政党のみに議席が配分される仕組みでした。

選挙の結果

有権者数3540万人を超える中、投票率は87.8％と非常に高く、国民の政治への関心の高さが伺えます。

この選挙で、キリスト教民主同盟（CDU）とキリスト教社会同盟（CSU）の連合（CDU/CSU）が50.2％という圧倒的な得票率を獲得しました。これは戦後ドイツ史上初めて、そして唯一の連邦議会単独過半数獲得という快挙でした。これにより、CDU/CSUは、自由民主党（FDP）と故郷被追放者・権利被剥奪者ブロック（GB-BHE）を連立政権から外し、ドイツ党（DP）との三党連立による第三次アデナウアー内閣を発足させました。

対する社会民主党（SPD）も前回選挙より支持を回復し、31.8％の得票を得ました。しかし、CDU/CSUの圧倒的な勝利の前に、その勢力は及ばず、単独政権樹立は不可能でした。

その他の政党は、DPが辛うじて議席を獲得したものの、他の政党は5％の阻止条項を突破できず、議席を得ることができませんでした。この結果、西ドイツの政党政治は、CDU/CSUとSPDという二大政党、そして中間政党であるFDPを加えた「三党体制」へと収斂していきました。この「三党体制」は、1983年に緑の党が議席を獲得するまで続くことになります。

選挙の結果がもたらしたもの

1957年の連邦議会選挙は、戦後ドイツにおける政党政治の枠組みを決定づける重要な選挙となりました。CDU/CSUの圧勝は、アデナウアー首相の政策への国民の支持の高さを示すと同時に、西ドイツにおける安定した政治体制の構築に貢献しました。しかし、同時に、少数政党の排除という、民主主義の課題も浮き彫りにしました。

今後の展望

この選挙の結果は、その後の西ドイツの政治、そして統一後のドイツ政治にも大きな影響を与えました。二大政党体制と三党連立という政治構造は、現代ドイツ政治の基礎を形成する重要な要素となっています。この選挙を理解することは、現代ドイツ政治の理解に不可欠です。

参考文献

Wahl zum 3. Deutschen Bundestag am 15. September 1957 (連邦選挙管理官)
election.de
* 渡辺重範『ドイツ近代選挙制度史 制度史より見たドイツ近代憲法史の一断面』（成文堂）

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