1958年のイギリスサルーンカー選手権

1958年、イギリスサルーンカー選手権(British Saloon Car Championship、BSCC)の幕が切って落とされました。これは、BSCCの歴史における最初のシーズンであり、後にBTCC(British Touring Car Championship)と呼ばれる人気シリーズの礎となる重要な一年でした。

選手権は、1200cc以下、1201-1600cc、1601-2700cc、そして2701cc以上の4つのクラスに分けられて開催されました。各クラスには同等の選手権ポイントが与えられ、どのクラスで活躍してもシリーズチャンピオンを獲得できる可能性があった点が、このシーズンの大きな特徴でした。

シリーズの開幕戦は、1957年12月26日、ブランズ・ハッチ・サーキットで開催されました。年末のレースという、当時としては異例と言える開催時期だったと言えるでしょう。そして、1958年シーズン最終戦もまた、ブランズ・ハッチで10月5日に開催され、シーズンは幕を閉じました。

しかし、このシーズンのハイライトは、最終戦でのチャンピオン争いでした。ジャック・シアーズとトミー・ソッピースの両ドライバーが、最終戦を終えた時点で同ポイントで並んだのです。当初は、チャンピオンの決定方法としてコイントスが提案されましたが、両ドライバーはこれに納得しませんでした。

そこで、マーカス・チェンバースが所有する2台のライリー・ワン・ポイント・ファイブを用いて、異例のチャンピオン決定戦が行われることになりました。この決定戦は、5ラップのレースを2回行い、両ドライバーが互いに相手の車を乗り換えて走行するという、これまでにない方式で行われました。

レースが行われた日は、路面が非常に濡れたコンディションでした。1回目のレースでは、ソッピースが2.2秒差でシアーズを下して勝利しました。しかし、2回目のレースでは、シアーズが3.8秒差でソッピースに勝利。合計タイムでシアーズがソッピースを上回り、初代BSCCチャンピオンの栄冠を手にしました。

この1958年シーズンのBSCCは、数々のドラマを生み出し、シリーズの歴史に大きな足跡を残したシーズンとなりました。コイントスではなく、異例のレースでチャンピオンを決定したという逸話は、今もなお語り継がれるBSCCの歴史における重要なエピソードとして記憶されています。このシーズンを通して、BSCCは多くのファンを獲得し、後のBTCCへと繋がる成功の礎を築き上げたのです。

(※開催カレンダー、優勝者、選手権結果等の詳細は、情報が不足しているため記述できません。資料の追加提供があれば、より詳細な記述が可能です。)

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