1960年イタリアグランプリ

1960年イタリアグランプリ：フェラーリの独壇場と歴史的勝利

1960年9月4日、イタリア・モンツァ・サーキット。F1世界選手権第9戦、イタリアグランプリが開催されました。このレースは、1956年以来4年ぶりにバンクコースが復活したことで注目を集めました。しかし、このバンクコースの路面状態が悪く、マシンへの負担が大きすぎるという理由から、イギリスのワークスクチームであるクーパー、ロータス、BRMがレースをボイコットするという事態が発生しました。

ワークスチームの欠場により、参加台数を確保するため、急遽F2マシンも参戦することとなりました。そのため、このレースを戦うワークスマシンは、フェラーリ3台の246と1台のF2用ミッドシップ車156P、そしてポルシェのF2用マシン718の2台のみという、異例の状況となりました。

レースは、フェラーリの独壇場となりました。特に、フィル・ヒルはF1初勝利を飾り、アメリカ人ドライバーとして初のF1優勝者となりました。この勝利はフェラーリにとって、1960年シーズン唯一の勝利であり、フロントエンジン車の最後の勝利でもありました。

2位にはリッチー・ギンサー、3位にはウィリー・メレスが入賞し、フェラーリの246が表彰台を独占しました。しかし、イギリス勢の欠場という状況を踏まえると、この勝利は完全な勝利とは言えず、複雑な感情が入り混じった結果となりました。なお、フェラーリの156Pをドライブしたヴォルフガング・フォン・トリップスも5位に入賞しています。また、ポルシェはハンス・ヘルマンが6位に入賞し、初の選手権ポイントを獲得しました。

タイヤは全車ダンロップを使用しました。予選と決勝の結果については、詳細なデータが文献に記載されていると思われますが、本稿では割愛させていただきます。ラップリーダーは、リッチー・ギンサーとフィル・ヒルが交互に務めました。

このレースの結果、ドライバーズランキングではトップ5が以下のように変化しました。（ベスト6戦のみがカウントされるというルールに基づいて集計されています）

第9戦終了時点のランキング（トップ5）
詳細な順位とポイントは資料を参照ください。

この1960年イタリアグランプリは、バンクコース復活という変化、ワークスチームのボイコットという異例の状況、そしてフェラーリの圧倒的な勝利とアメリカ人ドライバーの初優勝という歴史的出来事が重なった、F1の歴史において特筆すべきレースとなりました。フェラーリの勝利の裏側には、イギリス勢の不在という複雑な事情があり、その点を考慮すると、完全な勝利とは言い難い側面もありました。今後の研究においては、予選や決勝の詳細なデータ、ドライバーやチーム関係者の証言などを詳細に調査することで、このレースのより深い理解が期待されます。

参照文献
林信次『F1全史 1956-1960』ニューズ出版、1999年。ISBN 4-938495-27-9。

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