1960年ローマオリンピック

1960年ローマオリンピック

1960年にイタリアのローマで開催されたオリンピック競技大会、通称ローマ1960は、国際的なスポーツ競技の祭典として広く注目を集めました。開会式や閉会式に加え、各競技の総入場券発行枚数は318万2122枚に達し、当時の為替レートに基づく収入総額は約15億3707万412円となりました。

招致の背景

ローマは1908年のオリンピック開催地に決まっていましたが、財政的な問題から返上することになりました。その後、ムッソリーニ政権下で1940年の東京オリンピック開催地として名乗りを上げたものの、最終的には東京に降りました。1955年に行われたIOCの総会で、ローマは他の候補都市を抑え、再度オリンピックの開催地に選ばれました。最終的には、ローマが35票を獲得し、ローザンヌを24票で上回って決定されました。一方、東京は初回投票でわずか4票しか獲得できず、選定から外れました。

大会の特徴とハイライト

この大会では、特筆すべき出来事がいくつも生まれました。特にソ連は1952年のヘルシンキ以来、初めてアメリカを抑えて金メダル獲得数で首位に立ち、冷戦下におけるスポーツ競技の競争が激化するきっかけともなりました。ハンガリーのアラダー・ゲレビッチは6回連続で金メダルを獲得し、日本は1964年[[東京オリンピック]]に向けて着実に競技力を高めていきました。日本は16個のメダルを獲得し、その中で金メダルは4個、銀7個、銅7個でした。男子体操では団体競技での連覇を誇り、小野喬は2大会連続の金メダルを手にしましたが、競泳やレスリングなどの分野では思うような結果には至りませんでした。

アフリカのエチオピアからの選手アベベ・ビキラは、マラソンを裸足で走り抜けて優勝し、その姿は広く報道され、彼の母国にとって特別な意味を持ちました。

また、自転車の男子団体ロードレースでは、デンマーク代表が興奮剤を使用していた事案が発覚し、選手の一人が亡くなるという不幸もあり、この事件をきっかけにIOCによるドーピング対策が積極的に検討されるようになりました。さらに、アメリカのボクサー、カシアス・クレイ（後のモハメド・アリ）は、帰国後に差別に抗議して金メダルを川に投げたという逸話も有名です。

南アフリカは、この大会を最後にオリンピックへの参加を停止し、32年後の1992年に復帰を果たしました。また、陸上競技の日程は前回大会の反省を受けて、日程の後半に組まれ、全ての競技が国内でテレビ中継されました。

主な競技会場

大会は複数の競技場で行われました。主な競技会場には、スタディオ・オリンピコ、スタディオ・フラミニオ、パラエウル、スタディオ・オリンピコ・デル・ヌオートなどが含まれ、ローマの魅力を引き立てる場所で競技が繰り広げられました。

メダリストの成果

この大会では、日本からも多くの選手が活躍しました。体操の小野喬や相原信行が金メダルを獲得し、またアベベ・ビキラやウィルマ・ルドルフなど、各国を代表する選手たちの名が刻まれました。

1960年ローマオリンピックは、スポーツにおける国際的な理解と競争がいかにして進化していくかを示す重要な舞台となりました。様々な国から集まった選手たちが、限界を超えたパフォーマンスを披露したこの大会は、今でも歴史に残る名勝負が語り継がれています。

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