1962年ベルギーグランプリ

1962年ベルギーグランプリ：ジム・クラークとロータス25の栄光、そして衝撃の事故

1962年6月17日、ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキット。F1世界選手権第3戦、ベルギーグランプリが開催されました。このレースは、後にF1レジェンドとなるジム・クラークにとって、記念すべき初優勝の舞台となりました。同時に、革新的なモノコック構造を採用したロータス25にとっても、最初の勝利を飾る歴史的なレースでもありました。

ロータス25とクラークの輝かしいデビュー

クラークは、スパ・フランコルシャンを好むドライバーではありませんでしたが、この年から4年連続でこのサーキットで勝利を収めることになります。この勝利は、クラークとグラハム・ヒルという、F1史上に名を刻む2人のドライバーによる6年間にわたる激しいライバル争いの始まりを告げるものでもありました。

一方、ポルシェはストライキの影響で本レースを欠場。新型マシン804の開発に注力せざるを得ませんでした。クラーク自身は予選で12位と低迷、この年は唯一フロントローを逃す結果となりました。

衝撃の事故と奇跡の生還

レース序盤は、クラークのチームメイトであるトレバー・テイラーと、地元ベルギー出身のウィリー・メレス（フェラーリ）がトップ争いを展開。白熱したバトルが繰り広げられましたが、終盤に両者は接触してしまいます。メレスのマシンは炎上し、テイラーのマシンはコース脇の木製の電柱を破壊。その破片がコクピットに直撃する、凄惨な事故となりました。しかし、奇跡的にメレスは軽傷、テイラーは無傷で済んだのです。

このレースで3位に入ったフィル・ヒルは、これがF1における最後の表彰台となりました。一方、4位に入賞したリカルド・ロドリゲスは、20歳123日という年齢でF1最年少入賞記録を樹立。この記録は、38年間もの間破られませんでした。

その他の注目点

全車ダンロップタイヤを使用。いくつかのエントリーがあったものの、マシンの準備不足やその他の理由で決勝に出走できなかったドライバーもいました。ガーニーは、チームメイトのザイデルのマシンに競争力がないと判断し、決勝への参加を見送っています。レース終盤では、クラークが圧倒的な速さでトップを走り続け、最終的に優勝を収めました。

このベルギーグランプリは、クラークとロータス25の鮮烈なデビュー、そして予想だにしなかったアクシデント、そして新記録樹立など、多くのドラマが詰まったレースとして、F1の歴史に刻まれています。

ラップリーダー

1. グラハム・ヒル
2-3. トレバー・テイラー
4. ウィリー・メレス
5. トレバー・テイラー
6-7. ウィリー・メレス
8. トレバー・テイラー
9-32. ジム・クラーク

第3戦終了時点のランキング（トップ5のみ）

※ベスト5戦のみがランキングにカウントされるルールでした。

参考文献

林信次『F1全史 1961-1965』ニューズ出版、1997年。ISBN 4-938495-09-0。

外部リンク

STATS F1

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