1962年大韓民国の国民投票

1962年大韓民国国民投票の歴史的背景と意義

1962年12月17日に実施された大韓民国の国民投票は、朴正煕率いる軍事政権が策定した憲法改正案の是非を問う重要な投票でした。この投票は、1961年の軍事クーデターにより権力を掌握した最高会議の指導のもと行われ、1963年の民政移譲に向けた大きな一歩となるものでした。

国民投票の実施背景

この国民投票は、1962年10月10日に公布された「国民投票法」に基づいて実施されました。当初、最高会議は1961年5月16日から続いていた戒厳令を、投票の12日前の12月6日に完全に解除しました。このような背景があったため、憲法改正に対する国民の意見を尋ねることが可能になりました。

改憲案の内容と批判

改憲案は、1962年7月11日に設置された憲法審議委員会を通じて策定され、以下のような主な内容が含まれていました：

• - 大統領の直接選挙制導入：国民が直接大統領を選ぶことが可能となる制度です。
• - 大統領中心制の導入：大統領の在任期間は4年で、再選は1回まで認められる形になりました。
• - 一院制の国会：従来の両院制から一院制への回帰が図られました。
• - 比例代表制の導入：国会議員選挙では全国区比例代表制が導入され、議員候補者は所属政党の公認を受ける必要がありました。
• - 議員資格喪失の規定：党籍を離脱した場合、議員としての資格を失うことが明記されました。
• - 弾劾裁判所の設置：司法権の独立保障と共に、違憲審査権を大法院に与え、弾劾裁判所を新設しました。

しかし、野党側からは、この改憲案が特定の人物、すなわち朴正熙のために策定された疑いがあるとする批判が展開され、権力が大統領中心制に移行することが軍政派による権力掌握の手段であると非難されました。

投票結果

国民投票は1962年11月5日に最高会議の議決を経て公表され、30日間の公告期間が設けられました。投票が実施されると、全体の8割以上の有権者が参加し、その中の約80%が賛成票を投じました。この結果、憲法改正案は承認され、1962年12月26日に正式に憲法が公布されました。

その後、朴正熙最高会議議長は翌年4月に大統領選挙を実施し、5月には国会議員選挙を、8月には民政移譲を行う方針を示しました。また、国民の政治活動も約1年7ヶ月ぶりに許可されることが宣言され、政治的な活動が再開されることとなりました。

まとめ

このように、1962年の国民投票は大韓民国にとって非常に重要な出来事であり、憲法改正による新たな政権体制の確立と、民主的な政治活動の再開へとつながりました。この一連のプロセスは、韓国の政治史における重要な転換点となり、以降の政治動向にも大きな影響を及ぼしました。今後もこの歴史的な出来事を通じて、韓国の政治がどのように変化し続けるのか注視していく必要があります。

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