1964年の大洋ホエールズ

1964年の大洋ホエールズのシーズン分析

1964年の大洋ホエールズは、三原脩監督の5年目に迎えた興味深いシーズンでした。この年、チームは強力な打撃陣「メガトン打線」を擁し、開幕から勢いを持ってリーグをリードしました。シーズンの初め、同チームは打線の活躍により、前半戦を首位で折り返すことに成功しました。特に阪神との争いが熾烈で、前半終了時点では大洋が阪神に対して6.5ゲームの差をつけていました。

しかし、後半戦に突入すると、打線の調子が下降し、苦しい連敗が続くこととなります。特に「夏休み」と称されるような時期に、メガトン打線はなかなか復調せず、再び阪神との差は縮まりました。シーズン終盤の9月18日、対中日戦での勝利を受けて期待が高まり、続く20日の対阪神戦ダブルヘッダーを含む重要な6戦で「3勝3敗」以上を達成すれば優勝の可能性が広がる場面が訪れました。

ところが、20日の阪神との試合で連敗を喫し、その後は巨人相手にも勝利を収めつつも、再び阪神戦で敗戦を重ねました。このバトルは台風の影響で日程がずれ、最終的には26日に行われる阪神戦まで持ち込まれましたが、その試合でも敗北してしまいます。さらに阪神がその後の3試合で全勝した結果、大洋は優勝を逃すこととなりました。

この1964年シーズンの最大の特徴は、チームの打撃成績の高さでした。リーグでは134本塁打を記録し、打率は.255でリーグ1位を誇り、この年のメガトン打線の存在感は際立っていました。また、投手陣では稲川誠が秋山登と共に21勝を上げ、新人の高橋重行も17勝を記録するなど、打高投低のシーズンとなったことがわかります。

また、この年は日本のプロ野球史においてユニフォームに背ネームが初めて採用された年でもあります。ホームゲームでは本拠地名「KAWASAKI」を、ビジター用では選手名を着用する新スタイルが導入されました。

しかしながら、このシーズンの輝かしい成績にもかかわらず、その後大洋ホエールズは長い間優勝争いから遠ざかってしまったのです。1998年の横浜ベイスターズとしての優勝に至るまで、球団としての頂点を経験することはありませんでした。

できごと

この年の試合の中でも、特に印象的な出来事がありました。7月12日の巨人戦では、試合中にレフトの長田幸雄選手の元に空き瓶が投げ込まれる事件が発生しました。これに対して怒った長田選手は、犯人を探し出すために観客席へ乱入しましたが、その後退場を宣告されるという珍事となりました。

1964年の大洋ホエールズのシーズンは、打撃力とともに盛り上がりを見せながらも、終局には惜しくも優勝を逃した、歴史に残るシーズンだったと言えるでしょう。

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