1964年の西鉄ライオンズ

1964年の西鉄ライオンズのシーズン振り返り

1964年の西鉄ライオンズは、監督兼選手の中西太が指揮を執る3年目のシーズンでした。この年、西鉄ライオンズは前年の日本シリーズで巨人に敗れた苦い経験を抱えつつも、2年連続のリーグ優勝および日本一奪回が期待されていました。特に、前年の成績から期待が高まっていた中西監督の下、選手たちは望ましいスタートを切るべく準備していました。

シーズンが始まると、南海ホークスが出遅れる一方で西鉄は開幕から順調に勝ち星を重ね、5月には首位を占めることに成功しました。しかし、順風満帆に見えたシーズンも6月に入ると暗雲が立ち込めてきます。チームのエースである稲尾和久選手が右肩の怪我に悩まされ、主力選手たちも不調に陥り、チーム全体のパフォーマンスが低下していきました。

その結果、シーズンが進むにつれて成績は下降し、他の強豪チームである阪急、南海、東映、そして東京（この年大毎から改称）に苦しむことになりました。西鉄ライオンズは、最終的に5位でシーズンを終え、1959年以来のBクラス入りが確定しました。多くのファンにとって、5位という結果は非常に残念なものでしたが、チームは最下位だけは免れたことに少しの安心を見いだしました。

投手陣においては、稲尾選手の不在を補うため、田中勉や井上善夫、清俊彦らがしっかりとカバーしました。特に彼らの奮闘が後半戦での失速をいくらか支えたことでしょう。一方、打撃に関しては、前年にチームに加わったトニー・ロイ、ジム・バーマ、ジョージ・ウィルソンの「西鉄三銃士」がそれなりの成績を残し、チームの得点を支えました。

シーズンが終了すると、若林忠志ヘッドコーチが体調不良を理由にチームを退団しました。このことが引き起こしたのは、地元以外のマスコミからの反発です。中西監督は後に「若林さんはシーズンの途中から体調がすぐれなかった。私は再度、若手選手を育成してほしいとお願いしたが、彼は体調が優れず続行が不可能だと申し出た」と回顧しています。この回想は、西鉄のシーズンでの苦境とそれに伴う人間関係の複雑さを強調するものでした。

1964年の西鉄ライオンズは、栄光を期待されたものの、稲尾選手の離脱と選手たちの不調に悩まされた波乱のシーズンでした。ファンの期待に応えられなかったものの、選手たちの奮闘は決して無駄ではなく、翌年以降の飛躍に繋がる土台となったに違いありません。

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