1966年ニュージーランド航空DC-8墜落事故

1966年7月4日、ニュージーランド航空で発生した航空事故は、同航空にとって初の死亡事故となりました。事故が発生したのは、オークランド国際空港で飛行訓練を行っていたダグラスDC-8-52型機です。離陸時に機体が墜落し、乗員5名中2名が命を落とすという悲劇に見舞われました。

事故機の詳細

事故を起こしたダグラス DC-8-52（機体記号：ZK-NZB）は、1965年に製造された比較的新しい機体でした。総飛行時間は2275時間と記録されていました。

乗員構成

事故当時、機体には訓練飛行のため、5人の乗員が搭乗していました。機長は総飛行時間17,966時間という豊富な経験を持ち、そのうち497時間はDC-8での飛行経験でした。副操縦士は総飛行時間4,200時間で、DC-8での経験は21時間でした。

事故の経緯

午後3時50分、DC-8は訓練飛行のため滑走路23に向けてタキシングを開始しました。訓練は約2時間の予定で、午後3時59分に離陸許可を得ました。しかし、離陸時、パイロットが機首を急速に引き上げたため、機体尾部が滑走路に接触しかけました。さらに、機体は右に傾き始め、スリップしながら高度を失っていきました。最終的に機体は右に約50度まで傾き、右翼が地面に接触し分離。機体は機首から地面に激突し、大破しました。この事故により、機長と航空機関士が死亡、残りの3名の乗員は負傷しました。

事故原因の究明

事故調査の結果、機体が制御不能になった原因は、第4エンジンの逆噴射装置が作動したことであると判明しました。パイロットは第4エンジンが故障した場合を想定した訓練を行っていた際、スロットルレバーをアイドル位置まで戻しました。その際、スロットルの動きが急激だったため、慣性力が働き、誤ってリバースレバーが作動してしまいました。これにより、速度が最小制御速度まで上がらず、機体がスリップを始めたのです。パイロットは逆噴射装置の作動に気づいたものの、既に機体の姿勢を回復させるのに十分な高度と時間が残されていませんでした。

この事故は、訓練中の誤操作が重大な結果を招くことを示唆する事例として、航空史に刻まれることとなりました。

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