1968年の近鉄バファローズ

1968年の近鉄バファローズのシーズンを振り返る

1968年は近鉄バファローズにとって特別な年でした。この年、三原脩監督が新たにチームを指揮することになり、彼の1年目のシーズンが始まりました。三原監督は、過去に巨人、西鉄、大洋といった強豪チームで活躍した実績を持つ指導者で、開幕前から多くの期待が寄せられました。特に西鉄との開幕3連戦は「親子シリーズ」とも称され、三原監督の娘婿が西鉄の監督を務めたこともあり、注目を集めました。結果として、近鉄バファローズはこのシリーズを全勝し、4月には14勝4敗という好成績でスタートを切りました。

その後、チームは6月まで首位をキープし、胴上げが近いと期待される時期にも入りました。しかし、夏場に突入すると、7月には7連敗、8月には6連敗と大型連敗が続き、チームは失速を余儀なくされました。この頃から9月以降も負けが続き、最終的に東京に抜かれて借金16の4位という結果でシーズンを終えました。

投手陣に目を向けると、開幕投手の鈴木啓示はこの年に23勝を挙げ、2年連続で20勝を達成しました。また、前年にローテーション入りした板東里視も12勝、佐々木宏一郎が11勝を挙げ、共に大活躍を見せました。西鉄からトレードで移籍した清俊彦も一定の成果を上げており、先発投手がチーム成績の大半を支えました。

一方で打撃陣は苦戦を強いられ、打率、本塁打、得点はリーグ最低となってしまいました。しかし、前年のチーム首位打者である土井正博は、個人としては打率リーグ3位に入り、新人の小川亨や永淵洋三など若手選手も台頭しました。この年の特筆すべき点は、盗塁数です。安井智規が54盗塁、鎌田実が16盗塁を記録し、1・2番コンビが積極的に走る姿勢を見せ、チームの盗塁数はリーグ1位の151個に達しました。

結果的に、近鉄バファローズは阪急の2連覇を阻止することはできませんでしたが、1963年以来となる最下位脱出を果たしました。これは三原監督の指導法が選手たちに自信を持たせ、チームを成長させる土台となったことを示しています。カード別成績を見ても、阪急には9勝17敗で負け越したものの、2位の南海には13勝13敗の五分の戦績を残しました。

この1968年のシーズンは、監督のスタートを飾った記念すべき年であり、今後のチームの成長に繋がる重要な年となりました。

もう一度検索