1968年アメリカグランプリ

1968年10月6日、ニューヨーク州ワトキンズ・グレンのワトキンズ・グレン・グランプリレースコースで、F1世界選手権第11戦、1968年アメリカグランプリが開催されました。108周のレースは、数々のドラマチックな出来事と、将来のチャンピオンたちの活躍によって彩られました。

このレースは、後にF1界のレジェンドとなるマリオ・アンドレッティにとって、F1デビュー戦となりました。予選では、ベテランドライバーたちを抑え、見事ポールポジションを獲得。1950年イギリスGPのジュゼッペ・ファリーナ以来2人目、事実上初の快挙として歴史に刻まれました。予選では、ジャッキー・スチュワートとアンドレッティがトップ2を争い、僅差でアンドレッティがポールポジションを獲得しました。2列目にはグラハム・ヒルとクリス・エイモン、3列目にはデニス・ハルムとヨッヘン・リントが並びました。

決勝レースでは、9万3千人の観客が、アンドレッティ、ダン・ガーニー、ボビー・アンサーといったアメリカ人ドライバーたちの活躍に期待を寄せました。スタート直後、スチュワートがアンドレッティを抜き去り、トップに立ちます。その後もスチュワートは安定した走りで首位をキープし続けました。アンドレッティは序盤、スチュワートを猛追しましたが、マシントラブルによりピットインを余儀なくされ、順位を大きく落としました。

レース中盤には、他のドライバーたちもマシントラブルやアクシデントに見舞われました。エイモンは水漏れによりスピン、ハルムはオイルで滑って順位を落としました。ガーニーもスピンを喫し、サーティースに順位を逆転されましたが、その後激しいバトルを繰り広げました。アンドレッティはクラッチトラブルによりリタイアしました。

スチュワートは40周目までにヒルに26秒の大差をつけ、その後もそのリードを広げていきました。ヒルはステアリングコラムのトラブルに苦戦しながらも2位を死守しました。終盤では、シフェールとマクラーレンが給油のためにピットインする場面も見られ、順位の入れ替わりが激しくなりました。最終ラップでは、サーティースがスローパンクチャーに見舞われたガーニーを抜き去り、3位でフィニッシュしました。

スチュワートは全周回をリードし、見事優勝を飾りました。この勝利は、彼にとってアメリカGP初優勝であり、チャンピオン争いにおいても大きな意味を持つものでした。スチュワートはレース後、安定したペースで走れたことが勝因の一つだと語っています。また、レース主催者は、スチュワートの獲得賞金8,300ポンドがF1史上最高額だと発表しました。

このレースの結果、チャンピオンシップ争いはますます激化しました。グラハム・ヒルがポイントリーダーの座を維持したものの、ジャッキー・スチュワートが2位に浮上し、最終戦メキシコGPに3人がチャンピオンの可能性を残して臨むこととなりました。ファステストラップは、52周目に記録したスチュワートの1分05秒22でした。

この1968年アメリカグランプリは、アンドレッティの華々しいデビュー、スチュワートの圧勝、そしてチャンピオン争いの行方が大きく動いた、記憶に残るレースとなりました。様々なドラマが詰まったこのレースは、F1の歴史に深く刻まれています。

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