1971年のラジオ (日本)

1971年の日本のラジオ界

1971年は、日本のラジオ放送にとって、技術的な進化と放送サービスの拡充が大きく進んだ節目の一年でした。この年、全国各地でFM放送のエリアが広がりを見せた一方で、AM放送では主要局の大規模な出力増強が実施され、聴取環境が大きく改善されました。また、リスナーに向けた多様なジャンルの新番組も多数誕生しました。

放送網の整備と技術革新

FM放送分野では、NHK-FMの放送網が拡大しました。1971年3月26日には、浦和（現・さいたま放送局）と岐阜でそれぞれNHK-FMの放送が開始されました。翌3月27日には、京都と奈良でもNHK-FMが開局し、近畿地方におけるサービスエリアが拡大しました。さらに、夏の8月28日には千葉でもNHK-FMの放送が始まり、主要都市圏におけるFM放送の整備が進められました。

既存のFM中継回線にも変更がありました。3月20日、NHK高松放送局のFMステレオ放送の中継回線が、大阪からの直接受信方式から岡山局を経由するルート（大阪→岡山→高松）に変更されました。同時に、NHK徳島放送局のFMステレオ回線も、大阪から和歌山または神戸を経由する二つのルートで中継される体制へと変更されました。

AM放送では、聴取環境改善に向けた大きな動きが複数ありました。まず、4月1日にはNHKラジオ第2放送の秋田送信所が、夜間の外国電波による混信を軽減し、難聴地域を解消するため、出力をこれまでの10kWから500kWへと大幅に増強し、運用を開始しました。

そして、1971年のラジオ界で最も注目された出来事の一つが、11月1日に実施された全国の主要な民間AMラジオ局10局による一斉の出力増強です。これにより、より広範囲でクリアな放送が受信できるようになり、難聴対策とサービスエリア拡大が進みました。主な増強内容は以下の通りです。

在京3局（TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送）は、それぞれ50kWから100kWへと出力を倍増。
在阪3局（朝日放送ラジオ、毎日放送ラジオ、ラジオ大阪）は、それぞれ20kWから50kWへとパワーアップ。
北海道放送、中部日本放送ラジオは、それぞれ10kWから50kWへ。
札幌テレビ放送ラジオは、5kWから50kWへと一気に10倍に。
* ラジオ関西は、10kWから20kWへと出力が増強されました。

この大規模な出力増強と同時に、一部の局では放送周波数の変更も実施されました。ニッポン放送は1310kHzから1240kHzへ、ラジオ大阪は1380kHzから1310kHzへ、札幌テレビ放送ラジオは1460kHzから1440kHzへとそれぞれ移転しました。これらの変更は、日本のAMラジオ放送網の近代化を象徴する出来事でした。

番組編成の動向

技術的な変化が進む一方で、番組面でも新たな動きが見られました。ニッポン放送では、長時間特別番組として1月17日に「50時間マラソンジョッキー」、10月29日にはさらに長時間の「100時間マラソンラジオ」が放送され、大きな話題となりました。

年間を通じて、各放送局では多くの新番組がスタートしました。朝日放送の現在まで続く長寿番組「おはようパーソナリティ」や、ニッポン放送の音楽番組「コッキーポップ」、エフエム東京の「サウンド・イン・ナウ」などが代表的です。その他にも、各局で様々なジャンルの番組が放送を開始し、ラジオコンテンツの選択肢が広がりました。

一方、番組の終了もありました。ニッポン放送の「青春ホットライン」（6月終了）や、TBSラジオの「夜のバラード」（9月終了）などが放送を終了しました。

1971年は、FM放送エリアの拡大、AM放送の歴史的な出力増強と周波数変更といったインフラ整備が進み、同時に多様な番組が提供された、日本のラジオ界にとって重要な一年でした。

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