1971年大韓民国大統領選挙

1971年大韓民国大統領選挙の概要

1971年4月27日、韓国では第7代大韓民国大統領を選出するための選挙が行われました。この選挙は、第三共和国時代に実施されたものであり、前任者が任期を終えるにあたり実施されたものです。韓国では選挙を「第○回」ではなく「第○代」と称することが一般的です。

憲法改正と選挙の背景

この選挙は、1969年に行われた憲法改正による3選禁止規定の撤廃を背景にしています。韓国の第三共和国憲法では、大統領の再選が1回だけ許可されていましたが、朴正熙政権はこの規定を改正し、再選の道を開きました。このような状況下、与党の民主共和党からは朴正熙が立候補し、対する野党の新民党からは金大中が立候補しました。

候補者と選挙公約

金大中は1970年9月の新民党全党大会で候補として選ばれ、彼の選挙公約には郷土予備軍の廃止、労使共同委員会の設立、南北交流の促進、四大国保障案、3段階の統一案など、革新的な政策を掲げました。彼は朴正熙の安保政策や経済成長神話に対抗し、全国的に支持を得ることに成功しました。一方、朴正熙は「今回が最後の出馬」と強調し、選挙運動を展開しました。

選挙結果

1971年4月27日の投票日、投票率は79.8%に達し、約12,418,000人が投票に参加しました。選挙の結果、朴正熙は有効得票の53.2%を獲得し、金大中に対して約95万票の差をつけて勝利しました。しかし、選挙は不正選挙や官憲による干渉の疑いが持たれ、野党や一般市民から批判を浴びました。

金大中は45.3%の得票で敗れたものの、特に首都ソウルでは59%の票を集め、朴正熙の40%を上回るなど、都市部で支持を受けました。また、地域別では全羅北道と全羅南道で金大中が61.5%と62.8%の票を得る一方、朴正熙は慶尚北道と慶尚南道でそれぞれ75.6%と73.4%を得ており、地域間での票の偏在が顕著になりました。

選挙後の展開

朴正熙はこの選挙で予想以上に苦戦し、その結果を受けて翌年の国会議員総選挙では野党新民党が躍進し、憲法改正を阻止するための三分の一以上の議席を単独で確保しました。この結果、朴正熙は1972年10月に十月維新を実施し、維新体制を制定する決断に至りました。このように、1971年の大韓民国大統領選挙は、韓国における政治情勢や政権運営に対して重要な影響を与える出来事となりました。

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