1972年の東映フライヤーズ

1972年の東映フライヤーズの全容

1972年は、東映フライヤーズにとって特別な年であり、田宮謙次郎監督が就任してから3年目のシーズンです。この年、球団は日拓ホームに買収されることが決まっており、東映フライヤーズとしての活動が終了する節目のシーズンでもありました。

シーズンのハイライト

シーズンの開始から繰り広げられた数々のドラマがありました。特に、5月6日の近鉄戦では高橋善正投手が勝利を収め、その後の7試合で連続完投勝利を達成しました。また、大洋から移籍してきたベテラン投手の森中千香良も5月13日から7連勝を記録し、そのうち6試合では完投を果たしました。打撃部門では、大杉勝男選手が8月に月間15本の本塁打を打ち上げ、圧倒的な活躍を見せました。

チームは6月に一時2位に浮上しましたが、最終的には4位でシーズンを終えます。勝率は5割であり、十分に競争力のあるチームであったものの、最終成績は上位進出とはなりませんでした。投手陣は高橋善、高橋直樹、金田留広の3人がローテーションを担い、チーム防御率は3.82でリーグ4位。打撃陣では、張本勲と大杉勝男の両選手が大活躍し、149本の本塁打を打ち出しリーグ2位を記録。打率も.270でトップの座を確保しました。

経営の選択

この年、チームの成績は良かったものの、経営サイドでは厳しい状況が続いていました。前年、初代オーナーの大川博氏が逝去し、彼の長男である大川毅がオーナーとして就任。さらに、岡田茂がオーナー代行に就任しました。しかし、映画業界が斜陽に苦しむ中、関連事業の整理が進められ、東京タワー交通や東映ボウルなどの事業も縮小される事態に陥りました。

フライヤーズもその影響を受け、球団の将来が不透明なものとなります。一時的に経営維持が可能になったものの、交渉先の家電メーカーとの合意が破断したことで、再度窮地に立たされます。そして、1973年の1月には新興不動産会社である日拓ホームに球団の経営権が譲渡されることとなりました。

最後の活動

1972年は東映フライヤーズとして最後の年であり、多くの選手たちの頑張りやチームの歴史が詰まったシーズンでした。オールスターゲームにも選手が選ばれ、活躍が期待されましたが、その後の経営譲渡により、フライヤーズの歴史は新たな時代へと移行していきます。選手やファンにとって特別な想いが詰まったこの年の記録は、今もなお多くの人々に語り継がれています。

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