1973年モナコグランプリ

1973年モナコグランプリ：コース変更とドライバーたちのドラマ

1973年のF1世界選手権第6戦として、モナコグランプリが6月3日、モンテカルロ市街地コースで開催されました。このレースは、コースレイアウトの大幅な変更、F1界の新星ジェームス・ハントのデビュー、そしてジャッキー・スチュワートの偉業達成など、多くの話題を提供しました。

コースレイアウトの刷新

この年から、モンテカルロ市街地コースは大幅な変更を受けました。トンネルが延長され、港湾エリアに新たなセクションが追加。従来のガスワークスのヘアピンは、「ラスカス」と「アントニー・ノゲス」と名付けられた新しいコーナーへと生まれ変わりました。また、ピットレーンはスタート・フィニッシュストレート沿いに移動し、幅も拡幅されました。これらの変更は、レースの戦略や走行ラインに大きな影響を与えたと考えられます。

新たな挑戦者とベテランの戦い

今大会では、2つのプライベートチームがマーチ・マシンでF1に初参戦しました。アレクサンダー・ヘスケス率いるヘスケス・レーシングからは、後にチャンピオンとなるジェームス・ハントがF1デビュー。LEC・リフリジレーション・レーシングからはデビッド・パーレイが参戦しました。一方、フェラーリはアルトゥーロ・メルツァリオの312B3が完成し、2台体制を復活させていました。

予選：スチュワートのポールポジション

ロータスとティレルによるチャンピオン争いが激化する中、ジャッキー・スチュワート（ティレル）が今季初のポールポジションを獲得。ロニー・ピーターソン（ロータス）を僅か0.2秒差で抑え込みました。マクラーレンのデニス・ハルムが3番手につけ、ティレルとロータス勢の間に割り込む活躍を見せました。予選では26台中1台が予選落ちという結果に終わりましたが、それはジョージ・フォルマー（シャドウ）の車両損壊が原因でした。コース変更の影響で周回数が当初予定の80周から78周に短縮されるという決定も下されました。

決勝：スチュワートの25勝目、そしてハントのデビュー

スタートはフランソワ・セベール（ティレル）がトップで走り出しました。しかし、2周目にガードレールに接触しタイヤバースト。ピットインを余儀なくされました。その後、ロニー・ピーターソンがトップに立ちますが、8周目にスチュワートがオーバーテイクし、トップに躍り出ます。以降、スチュワートは独走状態を続けました。

レース中盤以降は、マシントラブルによるリタイアが相次ぎました。ラウダ、イクス、W・フィッティパルディなど、多くのドライバーがレースを完走できませんでした。一方、エマーソン・フィッティパルディはスチュワートを追い詰めますが、最終的に1.3秒差で2位となりました。

スチュワートはモナコGP3勝目、そして通算25勝目を達成。ジム・クラークが持つ最多勝利記録に並びました。この結果、ドライバーズチャンピオン争いはフィッティパルディが依然としてリードするものの、スチュワートが4点差まで迫る展開となりました。コンストラクターズチャンピオン争いではティレルがロータスとの差を広げています。

結語

1973年モナコグランプリは、コース変更による新たな挑戦、F1デビューを飾ったハントの活躍、そしてスチュワートの偉業達成など、数々のドラマが詰まったレースでした。このレースは、F1の歴史に刻まれた重要な一戦として記憶されています。平均速度は130.298km/h、ファステストラップはエマーソン・フィッティパルディの1分28秒1でした。

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