1974 FIFAワールドカップ

1974 FIFAワールドカップの概要

1974 FIFAワールドカップは、西ドイツ（現・ドイツ）で1974年6月13日から7月7日まで行われた第10回目のワールドカップ大会です。この大会では、西ドイツが決勝でオランダに2対1で勝利し、2度目の優勝を果たしました。この大会の特徴は、新しいトロフィーが使用されたことや、戦術の革新が見られた点にあります。

大会の特徴

この大会では、初めて現行のFIFAワールドカップトロフィーが優勝国に贈られました。それまで使用されていたジュールリメ杯は、ブラジルが1970年大会で3度目の優勝を果たしたため、永久にブラジルに保管されることになりました。そのため、新たなトロフィーが準備され、2022年以降の大会でも使用され続けることとなります。また、開幕戦の形式が変更され、開催国ではなく前回大会の優勝国が出場しました。この新方針は、2002年の日韓ワールドカップまで続きました。

大会に出場したチームの中で、オーストラリア、ザイール、ハイチ、東ドイツは初めての出場となり、オーストラリアを除く3カ国は、この大会が唯一の出場となりました。また、試合会場は9つの都市に設けられましたが、特にベルリン・オリンピアシュタディオンとミュンヘン・オリンピアシュタディオンというオリンピックのメインスタジアムを使用したことが注目されました。ベルリンは当時、連合国による占領管理地であり、東ドイツ側からの抗議がありましたが、西ドイツはこれを無視しました。

予選と試合方式

大会方式は、1970年大会から変更され、初めての「2次リーグ制」が導入されました。16チームが地区予選で選ばれ、4つのグループに分けられ、各グループの上位2チームが2次リーグに進出しました。この形式はこの大会と次回のアルゼンチン大会のみに適用されました。

1次リーグにおいては、東ドイツと西ドイツの対戦が特に注目されました。この対戦は両国にとって初めての国際Aマッチであり、東ドイツが期待を裏切って1対0で勝利しました。さらに、前回優勝のブラジルはメンバーの交代によりチーム力が低下し、1次リーグをなんとか突破するに留まりました。2次リーグではオランダに敗れ、3位決定戦でもポーランドに敗れました。

注目の選手

ポーランド代表選手のグジェゴシ・ラトーは、通算7得点を挙げて大会得点王となりました。ポーランドはスピード感あふれる攻撃サッカーで進出し、3位決定戦ではブラジルを下しました。イタリアは初出場のハイチに期待されたものの、苦しい戦いを強いられ、早期に敗退しました。

オランダはヨハン・クライフを中心に全員攻撃・全員防御の「トータルフットボール」を披露し、多くの注目を集めました。優勝した西ドイツもフランツ・ベッケンバウアーを中心に リベロ・システムを駆使し、新しい戦術を示しました。

この大会はサッカー戦術に大きな影響を与え、以前のスタイルを一新するものとなりました。西ドイツは最終的に優勝し、この大会の成功を収めました。

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