1975年の台風

1975年の台風

1975年に発生した台風は、太平洋北西部で発生した熱帯低気圧の記録です。この年の台風発生数は21個と、平年に比べて著しく少なく、1951年の統計開始以降、当時としては2番目に少ない記録となりました（現在は4番目に少ない記録）。

特徴的な発生状況

この年の大きな特徴として、1月に台風1号が発生した後、約半年間という長期間にわたり台風が全く発生しなかった点が挙げられます。7月後半になってようやく台風2号が発生するという、非常に特異な状況でした。気象学的な観点からは、1月の台風は前年の延長と捉えられ、実質的な台風シーズンは2月から始まると考えられます。もし1月に台風1号が発生していなければ、7月後半の台風2号がその年の最初の台風となり、観測史上最も遅い台風1号の発生年となっていた可能性がありました。

台風1号が消滅してから台風2号が発生するまでの180日12時間は、台風が全く存在しない空白期間となり、この空白期間の長さは統計史上6位となりました。年を跨がない空白期間としては過去最長となっています。

月別の台風発生数

以下に、1975年の各台風の発生状況を示します。

台風1号（ローラ）: 1月発生
台風2号（メイミー）: 7月後半発生
台風3号（ニーナ）: 7月発生
台風4号（オーラ）: 7月発生
台風5号（フィリス）: 7月発生
台風6号（リタ）: 8月発生
台風7号（スーザン）: 8月発生
台風8号（テス）: 8月発生
台風9号（ヴィオラ）: 9月発生
台風10号（ウィニー）: 10月発生
台風11号（アリス）: 10月発生
台風12号（ベティ）: 10月発生
台風13号（コラ）: 10月発生
台風14号（ドリス）: 10月発生
台風15号（エルシー）: 10月発生
台風16号（フロッシー）: 10月発生
台風17号（グレイス）: 10月発生
台風18号（ヘレン）: 10月発生
台風19号（アイダ）: 10月発生
台風20号（ジューン）: 11月発生
* 台風21号: 12月発生

台風13号による八丈島の被害

9月29日にカロリン諸島のヤップ島近海で発生した熱帯低気圧は、勢力を強めながら北上し、10月2日に沖ノ鳥島の南西海上で台風となりました。その後、台風は発達しながら北上し、5日には八丈島の北約20km付近を通過しました。

八丈島では、この台風によって観測史上1位となる最大瞬間風速67.8m/sを記録しました。また、最低気圧947hPa、最大風速35.5m/sも観測されています。台風は小型で移動速度が速かったため、暴風の継続時間は短かったものの、八丈島では大きな被害が発生しました。負傷者は85人に上り、家屋の損壊は2,403棟（住家の約8%にあたる285戸が全壊）、農業施設など産業への被害は55億円以上という甚大な被害をもたらしました。八丈島における総雨量は少なかったため、被害のほとんどが暴風によるものでした。

本土への影響

台風13号の接近に伴い、八丈島だけでなく、東京の南多摩、北多摩、区部など広い範囲で降雨による被害が発生しました。台風が北上するにつれて、関東地方を覆っていた寒冷前線が刺激され、各地で大雨となりました。町田市では最大時間雨量37mmを記録し、河川の氾濫や浸水被害が発生しました。

台風20号の記録的な発達

11月に発生した台風20号は、中心気圧875hPaという記録的な勢力にまで発達しました。これは当時、1973年の台風15号と並び、史上最も低い中心気圧の記録でした。ただし、この記録は1979年の台風20号によって更新されています。

その他の台風

この年の最後の台風となった台風21号は、統計史上最も遅い日時に発生した台風となりました。

まとめ

1975年の台風は、発生数の少なさ、台風発生の空白期間、後半に発生した台風の記録的な発達など、多くの点で特異な年でした。特に台風13号は八丈島に大きな被害をもたらし、台風20号は記録的な発達を見せるなど、記憶に残る年となりました。

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