1975年大韓民国の国民投票

1975年大韓民国の国民投票

1975年2月12日に行われた大韓民国の国民投票は、当時の維新体制に対する信任を国民に問う重要な出来事でした。この国民投票は、1972年10月に始まった「十月維新」と呼ばれる変革を経て発足した第四共和国の体制に対する評価を示すものでした。

維新体制とその背景

1974年の夏、緊急措置第1号と第4号が解除されたことを契機に、民間や学生たちによる維新体制に対する反対運動が加速しました。最大野党である新民党は、党大会で金泳三を党総裁に選出し、これまでの「政府と協調する路線」を転換しました。彼らは積極的に憲法の改正と民主主義の回復を訴えました。さらに、同年11月には「民主回復国民会議」が設立され、政界や宗教界、学界の関係者らが一丸となって新憲法の撤廃を目指す運動を始めました。

国民投票の実施

こうした反体制の流れを受けて、朴正煕大統領は1975年1月23日にサプライズメッセージを発表しました。この中で、維新憲法と維新体制の信任を問う国民投票の実施を宣言し、国民に信任されなければ大統領職を辞する意向を示しました。このため、国民投票は純粋な憲法の信任だけでなく、大統領自身の信任にも直結するという特別な意味を持つこととなりました。

野党や市民団体は、国民投票法では投票日前日まで賛成や反対の運動ができないことや、投票と開票の立会いから政党関係者が排除されている点を挙げて、この国民投票に反対意見を表明しました。

投票結果とその後

国民投票は1975年2月12日に実施され、野党や在野勢力がボイコットする中、約8割の投票率を記録しました。結果として、維新憲法に対する信任が7割以上の賛成で決定されたのです。これは、朴大統領にとって民意の強い支持を得る機会でもありました。

投票結果を受けて朴大統領は、再確認された国民的正当性をもとに政府の政治体制をさらに進展させる意向を述べました。さらに、投票日から3日後の2月15日には、人民革命党事件や反共法違反者を除く緊急措置第1号と第4号に違反した者を全て釈放する決定を下しました。

結論

このように、1975年の国民投票は維新体制に対する国民の信任を直接的に問うものであり、同時に朴正煕政権の存続を賭けたものでした。投票の結果は一時的に政権に安定をもたらしましたが、以降の韓国政治における民主化運動の見地からも、重要な転換点として位置づけられています。

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