1975年3月10日国鉄ダイヤ改正

1975年3月10日国鉄ダイヤ改正：山陽新幹線全線開業と在来線への影響

1975年（昭和50年）3月10日、日本国有鉄道（国鉄）は山陽新幹線の全線開業に合わせて、大規模なダイヤ改正を実施しました。この改正は、関係者や鉄道ファンの間で「ゴーマルサン」（50・3）という通称で呼ばれています。

ダイヤ改正の背景

1972年（昭和47年）3月15日に山陽新幹線が岡山駅まで開業した後、博多駅までの延伸工事が進められ、1975年3月に全線開業が決定しました。このダイヤ改正は、山陽新幹線を中心とした列車連絡網の構築を目的とし、山陽本線では大幅な列車削減が行われました。全線開通時のキャッチコピーは「ひかりライン」でした。

改正の内容

山陽新幹線

ダイヤは基本的に岡山開業時のものを引き継ぎ、「ひかり」が「こだま」の役割も担うことになりました。新大阪 - 博多間には、停車駅の異なる3つのタイプの「ひかり」が設定されました。

Wひかり: 岡山、広島、小郡（現・新山口）、小倉に停車
Aひかり: 新神戸、姫路、岡山以西の各駅に停車
* Bひかり: 岡山までの各駅に停車

一部、徳山や新下関に停車するWひかりや、岡山以西へ運転されるBひかりも存在しました。山陽新幹線では、「こだま」も「ひかり」と同じH編成が使用されましたが、「こだま」では食堂車とビュッフェの営業は休止されました。また、三原 - 博多間では地盤が安定していない区間があり、最高速度が制限されていましたが、1980年10月に解除されました。

岡山開業時に縮小されていた「ひかり」と「こだま」の料金格差は、この改正で廃止されました。

在来線

今回の改正では、山陽本線の優等列車が大幅に削減される一方で、九州各線では新幹線接続列車が増発されました。

山陽本線

国鉄の財政状況が厳しかったため、山陽新幹線への移行を促進し増収を図る目的で、東海道新幹線開業時よりも徹底した優等列車の整理が行われました。昼行の特急・急行列車は全廃され、代わりに快速列車網が整備されました。

九州各線

本州方面と九州各地を結んでいた特急・急行列車が廃止されたため、小倉駅・博多駅で新幹線と連絡する九州内の特急列車が増発されました。鹿児島本線の「有明」は3往復から10往復に、日豊本線の「にちりん」は1往復から8往復に増発され、両者ともエル特急に指定されました。小倉駅-博多駅間の特別快速は、八幡、折尾が停車駅に追加され、急行列車の統廃合を補完しました。

長崎本線・佐世保線では電化が未完成だったため、特急の設定は見送られ、急行列車が新幹線連絡列車の役割を担いました。

山口線

小郡駅で接続する山口線では、小郡 - 米子・鳥取間に特急「おき」3往復が新設されました。これは同線初の特急列車でした。

湖西線・北陸本線

1974年7月に山科 - 近江塩津間を結ぶ湖西線が開通し、優等列車の運行経路が変更されました。これにより、所要時間が約15分短縮されました。米原駅発着の新幹線接続特急を補うため、米原 - 金沢・富山間に「加越」6往復が新設され、「しらさぎ」も増発されました。北陸本線の特急には自由席が設けられ、エル特急に指定されました。

総武本線・成田線・鹿島線

前年10月に電化が完成した総武本線・成田線・鹿島線では、特急「しおさい」と「あやめ」が新設され、エル特急とされました。

その他

東京以北の特急列車や新幹線接続列車は増発されましたが、その後、ストライキの頻発や運賃値上げにより国鉄の利用客は減少し、「減量ダイヤ改正」が中心となりました。また、この改正で青森 - 上野間の寝台特急の所要時間が急行列車より長いことが発覚し、苦情が寄せられました。

旅客列車の機関車へのヘッドマーク取り付けが中止され、寝台特急列車の食堂車は一部を除き営業休止となりました。

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